CAR-T細胞療法無効のリンパ腫、強化CAR-T細胞療法は有効か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/05/19

 

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法が奏効しなかったリンパ腫患者において、インターロイキン-18を分泌することで抗腫瘍活性を高める抗CD19強化(armored)CAR-T細胞製剤「huCART19-IL18」は、他のCAR-T細胞療法と安全性プロファイルが一致し、低細胞量で有望な有効性を示した。米国・ペンシルベニア大学のJakub Svoboda氏らが第I相試験の結果を報告した。CD19を標的とするCAR-T細胞療法は、B細胞がんの治療に変革をもたらしたが、なお多くの患者は長期の寛解を得られていない。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。

安全性、実行可能性および有効性を評価

 研究グループは、抗CD19 CAR-T細胞療法後に再発または難治となったリンパ腫患者を対象に、huCART19-IL18の安全性、実行可能性、および予備的に有効性を評価した。

 製造工程は3日間とし、huCART19-IL18陽性細胞を3×106~3×108の範囲で投与した。

 試験は2021年5月10日~2024年3月1日に計28例を登録して実施。このうち21例がhuCART19-IL18を投与された。

 初回の反応性評価は、投与3ヵ月後にLugano分類(2014)に基づいて行われた。2回目以降は、最初の1年間は3ヵ月ごとに評価を行い、その後は長期追跡に移行した。

投与後3ヵ月で完全奏効または部分奏効が得られた患者は81%

 21例の患者は、年齢中央値64歳(範囲:47~74)、男性76%、ECOG-PSは1が90%であった。多くを占めたのは大細胞型B細胞リンパ腫(21例中12例、57%)で、濾胞性リンパ腫は6例、マントル細胞リンパ腫は3例であった。前治療数中央値は7(範囲:4~14)。1例は抗CD19 CAR-T細胞療法を受けたことがなかった(細胞の製造に2回失敗したため)。

 サイトカイン放出症候群が62%(47%はGrade1または2)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が14%(すべてGrade1または2)の患者に認められた。予期せぬ有害事象は報告されなかった。

 すべての用量でCAR-T細胞の十分な増殖が確認された。

 細胞投与後3ヵ月の時点で、完全奏効または部分奏効が得られた患者は81%(90%信頼区間[CI]:62~93)、完全奏効が得られた患者は52%(90%CI:33~71)であった。

 追跡期間中央値は17.5ヵ月(範囲:3~34)、奏効期間の中央値は9.6ヵ月(90%CI:5.5~未到達)であった。

(ケアネット)