レナカパビル筋注、年1回でHIV予防の可能性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/24

 

 年1回筋肉内投与の2種類のレナカパビル製剤は血漿中濃度の中央値に関して、年2回皮下投与の第III相試験において有効性と関連した血漿中濃度を、少なくとも56週間にわたり上回った。2種類の製剤はどちらも安全で忍容性も良好であった。米国・Gilead SciencesのVamshi Jogiraju氏らが、年1回筋肉内投与の2種類のレナカパビル製剤の、第I相非盲検試験の結果を報告した。著者は、「今回示されたデータは、年1回の投与間隔で生物医学的にHIVの予防が可能であることを示唆するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2025年3月11日号掲載の報告。

年1回の筋肉内投与を2種類の濃度で、年2回の皮下投与と比較検証

 研究グループは、18~55歳のHIV非感染者を対象に、2種類のレナカパビル遊離酸製剤(製剤1:エタノール5%w/w、製剤2:エタノール10%w/w)を、腹側臀部筋肉内注射として単回5,000mg投与し、薬物動態、安全性および忍容性を評価した。

 検体は、56週まで事前に指定された時点で採取した。レナカパビルの血漿濃度は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法で測定し、非コンパートメント解析で要約した。

 評価した薬物動態パラメータは、年1回の投与間隔における1~365日目までの血中濃度-時間曲線下面積(AUCdays1-365)、最高血漿中濃度(Cmax)、最高血漿中濃度に達するまでの時間(Tmax)、およびトラフ濃度(Ctrough)であった。さらに、レナカパビル年2回皮下投与の第III相試験(PURPOSE 1およびPURPOSE 2)のデータと比較するため、血漿濃度データを統合した。

 安全性および忍容性については、疼痛スコアなども含み評価された。

年1回のレナカパビル筋肉内投与は有効、安全性と忍容性も良好

 レナカパビル製剤1を20例に、製剤2を20例に投与した。試験薬とは無関係の理由による早期中止で、薬物動態パラメータの解析対象は時間の経過とともに変化し、試験参加者は少なくとも13例(製剤1)および19例(製剤2)となった。

 レナカパビル筋肉内投与後、血漿中濃度は急速に上昇し、Tmax中央値は、製剤1で84.1日(四分位範囲[IQR]:56.1~112.0)、製剤2で69.9日(55.3~105.5)であった。年1回レナカパビル筋肉内投与のCmax中央値(製剤1:247.0ng/mL[IQR:184.0~346.0]、製剤2:336.0ng/mL[233.5~474.3])は、年2回レナカパビル皮下投与のCmax中央値(67.3ng/mL[46.8~91.4])を上回っていた。

 52週終了時のCtrough中央値は、製剤1で57.0ng/mL(IQR:49.9~72.4)、製剤2で65.6ng/mL(41.8~87.1)であり、年2回レナカパビル皮下投与の26週終了時のCtrough中央値23.4ng/mL(15.7~34.3)を上回った。

 AUCdays1-365の中央値は、製剤1で1,011.1 h*μg/mL(IQR:881.0~1,490.2)、製剤2で1,274.0 h*μg/mL(1,177.3~1,704.8)であった。

 有害事象は、ほとんどがGrade1または2であった。最も多かった有害事象は注射部位の痛みであったが(製剤1:16例[80%]、製剤2:15例[75%])、一般的に軽度で1週間以内に消失し、アイスパックによる前処置によって大幅に軽減された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)