院内心停止、心肺蘇生時間1分ごとの患者転帰との関連/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/16

 

 米国・ピッツバーグ大学の大久保 雅史氏らは、院内心停止に関する大規模レジストリの後ろ向きコホート研究において、心肺蘇生時間1分ごとの患者アウトカムの時間依存確率を定量化し、生存および良好な神経学的アウトカムの確率は心肺蘇生時間とともに低下し、それぞれ心肺蘇生時間39分および32分時点で1%未満であることを明らかにした。心肺蘇生時間と患者転帰との関連性は、院内心停止患者については十分に調査されていなかった。著者は、「今回の結果は、蘇生チーム、患者、およびその代理人に、最初の自己心拍再開を待っている患者が、さらなる心肺蘇生を受けた場合に、良好なアウトカムが得られる客観的確率を提供するものである」とまとめている。BMJ誌2024年2月7日号掲載の報告。

院内心停止し心肺蘇生を受けた成人患者34万8,996例について解析

 研究グループは、米国心臓協会(AHA)のGet With The Guidelines-Resuscitation (GWTG-R)レジストリにおいて、2000~21年に参加施設で院内心停止を来した患者で、蘇生処置拒否指示がなく心肺蘇生を受けたすべての成人患者(18歳以上)を特定し、解析した。

 主要アウトカムは、退院までの生存および退院時の良好な神経学的アウトカム(脳機能カテゴリー[CPC]スコア1または2と定義、スコアの範囲は1~5、スコアが高いほど障害が重度、5は脳死)とした。

 蘇生中止に関するすべての決定が正確であったと仮定し(蘇生が中止されたすべての患者は、たとえ心肺蘇生を長時間継続しても助かることはできなかった)、各時点で最初の自己心拍再開を待っている患者が、その時点を超えてさらに心肺蘇生を受けた場合の、その後退院まで生存する、あるいは良好な神経学的アウトカムが得られる時間依存確率を推定した。

 院内心停止により心肺蘇生を受けた成人患者は40万1,697例特定され、このうち除外基準を満たした患者を除く34万8,996例が解析対象となった。さらに、退院時の神経学的アウトカムが不明であった1万5,645例は、同アウトカムの解析から除外した。

心肺蘇生時間1分時点で自己心拍再開が得られていない患者の生存確率は22%

 34万8,996例中23万3,551例(66.9%)で自己心肺再開が得られ、胸骨圧迫開始から最初の自己心拍再開までの時間の中央値は7分(四分位範囲[IQR]:3~13)であった。7万8,799例(22.6%)が生存退院した。一方、自己心拍再開が得られなかった11万5,445例(33.1%)では、胸骨圧迫開始から蘇生中止までの時間の中央値は20分(IQR:14~30)であった。

 退院時の神経学的アウトカムを評価できた33万3,351例のうち、良好な神経学的アウトカムを達成したのは5万2,104例(15.6%)であった。

 心肺蘇生時間1分時点で、自己心拍再開未達成患者の生存および良好な神経学的アウトカムの確率は、それぞれ22.0%(7万5,645/34万3,866例)および15.1%(4万9,769/32万8,771例)であった。同確率は心肺蘇生時間が長くなるとともに減少し、心肺蘇生時間39分時点で生存の確率は1%未満、心肺蘇生時間32分時点で良好な神経学的アウトカムの確率は1%未満であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)