超早産児の動脈管開存症、イブプロフェンによる早期治療は無益/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/01

 

 超早産児の動脈管開存症(PDA)の治療において、早期のイブプロフェン投与はプラセボと比較し、最終月経後年齢36週時における死亡または中等度~重度気管支肺異形成症のリスクを低下させないことが示された。英国・ダラム大学のSamir Gupta氏らが、英国の新生児集中治療室(NICU)32施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェンは、早産児のPDA治療に使用できるが、大きなPDAへの選択的早期治療が、短期アウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌2024年1月25日号掲載の報告。

大きなPDAを有する生後72時間以内の超早産児でイブプロフェンvs.プラセボ

 研究グループは、在胎23週0日~28週6日で出生し、心エコー検査によりPDA(直径1.5mm以上、左右シャント)が確認された生後72時間以内の新生児を、イブプロフェン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。イブプロフェン群には10mg/kgを負荷用量として投与した後、5mg/kgを24時間以上の間隔を空けて2回投与した。

 主要アウトカムは、最終月経後年齢36週時の死亡または中等度~重度の気管支肺異形成症の複合、退院時までの副次アウトカムは主要アウトカムの個々のイベント、気管支肺異形成症の重症度などであった。

 2015年7月~2020年12月に、計653例がイブプロフェン群(326例)とプラセボ群(327例)に無作為に割り付けられた。このうち、割り付けられた治療を受けたのは、それぞれ318例(97.5%)および315例(96.3%)であった。

死亡または中等度~重度気管支肺異形成症の発生、69.2% vs.63.5%

 主要アウトカムのイベントは、イブプロフェン群で318例中220例(69.2%)、プラセボ群で318例中202例(63.5%)に発生し、補正後リスク比は1.09(95%信頼区間[CI]:0.98~1.20、p=0.10)であった。

 イブプロフェン群で323例中44例(13.6%)、プラセボ群で321例中33例(10.3%)が死亡した(補正後リスク比:1.32、95%CI:0.92~1.90)。

 最終月経後年齢36週時までの生存児において、中等度~重度の気管支肺異形成症は、イブプロフェン群で274例中176例(64.2%)、プラセボ群で285例中169例(59.3%)に発生した(補正後リスク比:1.09、95%CI:0.96~1.23)。

 イブプロフェンに関連する可能性があると評価された予測できない重篤な有害事象が2件発生し、このうち1件は予測できない重篤な副作用に分類された。

(ケアネット)