既治療大腸がん、FTD/TPIへのベバシズマブ上乗せでOS延長/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/19

 

 切除不能な進行・再発大腸がん患者において、トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)+ベバシズマブ併用療法はFTD/TPI単独療法と比較して、全生存期間(OS)を延長することが確認された。オーストリア・ウィーン医科大学のGerald W. Prager氏らが、13ヵ国87施設で実施された第III相無作為化非盲検実薬対照比較試験「SUNLIGHT試験」の結果を報告した。これまでの第III相試験において、FTD/TPIは転移のある大腸がん患者のOSを延長することが示されていた。また、第II相単群および無作為化試験の予備データから、ベバシズマブにFTD/TPIを追加することで生存期間が延長する可能性が示唆されていた。NEJM誌2023年5月4日号掲載の報告。

FTD/TPI+ベバシズマブvs.FTD/TPI単独でOSを比較

 研究グループは、2レジメン以下の化学療法歴がある切除不能な進行・再発の結腸・直腸腺がんで、ECOG PSが0または1の18歳以上の成人患者を、FTD/TPI+ベバシズマブ群(FTD/TPI併用群)またはFTD/TPI単独群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けは、地域(北米、欧州、その他の地域)、最初の転移診断からの期間(18ヵ月未満、18ヵ月以上)、RAS状態(野生型、変異型)により層別化された。

 主要評価項目はOS、副次評価項目は治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)およびECOG PSが0または1から2以上に悪化するまでの期間を含む安全性とした。

FTD/TPI併用群10.8ヵ月vs.単独群7.5ヵ月、OSが有意に延長

 2020年11月25日~2022年2月18日の期間に492例が割り付けられた(FTD/TPI併用群246例、単独群246例)。

 OS中央値は、FTD/TPI併用群10.8ヵ月、単独群7.5ヵ月であり、死亡のハザード比(HR)は0.61(95%信頼区間[CI]:0.49~0.77、層別log-rank検定のp<0.001)で、FTD/TPI併用群においてOSが有意に延長したことが認められた。6ヵ月全生存率はFTD/TPI併用群77%、単独群61%、12ヵ月全生存率はそれぞれ43%、30%であった。

 PFS中央値はFTD/TPI併用群5.6ヵ月、単独群2.4ヵ月(HR:0.44、95%CI:0.36~0.54、p<0.001)、ORRはそれぞれ6.1%(95%CI:3.5~9.9)、1.2%(95%CI:0.3~3.5)であった。

 両群で発現頻度が高かった有害事象は、好中球減少症(FTD/TPI併用群62.2%、単独群51.2%)、悪心(それぞれ37.0%、27.2%)、貧血(28.9%、31.7%)であった。治療に関連した死亡の報告はなかった。ECOG PSが0または1から2以上に悪化するまでの期間の中央値は、FTD/TPI併用群9.3ヵ月、単独群6.3ヵ月(HR:0.54、95%CI:0.43~0.67)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)