難治性院外心停止、体外循環式心肺蘇生法vs.従来法/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/02

 

 難治性院外心停止患者において、体外循環式心肺蘇生(ECPR)と従来のCPRは、神経学的アウトカム良好での生存に関して有効性が同等であることが、オランダ・マーストリヒト大学医療センターのMartje M. Suverein氏らによる多施設共同無作為化比較試験「INCEPTION(Early Initiation of Extracorporeal Life Support in Re-fractory Out-of-Hospital Cardiac Arrest)試験」の結果、報告された。ECPRは自発循環のない患者において灌流と酸素供給を回復させるが、難治性院外心停止患者における良好な神経学的アウトカムを伴う生存に対する有効性に関するエビデンスは、結論が得られていなかった。NEJM誌2023年1月26日号掲載の報告。

バイスタンダーによるCPRで15分以内に自発循環が回復しなかった患者を無作為化

 研究グループは、2017年5月~2021年2月に期間に、オランダの12の救急医療サービス(EMS)がある心臓外科センター10施設において、難治性院外心停止患者をECPR群または従来CPR群に、施設で層別化した置換ブロック法を用いて1対1の割合で無作為に割り付けた。

 適格基準は、18~70歳で、心室性不整脈(EMSチームにより診断された心室細動または心室頻拍、あるいは自動体外式除細動器により検出されたショック適応波形)により院外で心肺停止し、バイスタンダー(現場に居合わせた人)によってCPRを受けたが、CPR開始後15分以内に自発循環が回復しなかった患者とした。ECPRは、地域の施設のプロトコールに従い、CardiohelpシステムとHLS Set Advanced 7.0/5.0を用いて実施した。

 主要アウトカムは、30日後の良好な神経学的アウトカム(脳機能カテゴリー[CPC]スコア1または2と定義、スコアの範囲は1~5、スコアが高いほど障害が重度)を有する生存とし、intention-to-treat解析を行った。

ECPRと従来型CPRで主要評価項目に有意差なし

 160例が無作為に割り付けられ、このうち割り付け後に適格基準を満たさないことが判明した26例を除き、ECPR群70例、従来CPR群64例が解析対象集団となった。

 心停止から救急車到着までの平均(±SD)時間は両群とも8±4分で、病院到着前にECPR群で44例(63%)、従来型CPR群で42例(66%)が無作為化され、心停止から救急外来到着までの平均時間はそれぞれ36±12分および38±11分であった。

 ECPR群において、ECPRが開始されたのは70例中52例(74%)で、体外式膜型人工肺(ECMO)が成功した患者は46例(66%)であった。また、従来CPR群では、3例がECMO-CPRにクロスオーバーされた。

 30日後に神経学的アウトカム良好で生存していた患者は、ECPR群で70例中14例(20%)、従来CPR群では30日後の評価が行われなかった1例を除く62例中10例(16%)であった(オッズ比[OR]:1.4、95%信頼区間[CI]:0.5~3.5、p=0.52)。

 重篤な有害事象の平均発生数は、ECPR群1.4±0.9/例、従来CPR群1.0±0.6/例であり、両群で同程度であった。

(ケアネット)