COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2018/02/22

 

 症候性の慢性閉塞性肺疾患(COPD)で高度以上の気流閉塞があり、維持療法を行いながらも増悪のある患者において、細粒子ベクロメタゾン+フマル酸ホルモテロール(長時間作用型β2刺激薬:LABA)+グリコピロニウム(長時間作用型ムスカリン受容体遮断薬:LAMA)の3剤併用は、インダカテロール(LABA)+グリコピロニウムの2剤併用に比べて、COPDの増悪を有意に抑制することが示された。イタリア・フェラーラ大学のAlberto Papi氏らが、1,532例を対象に行った無作為化並行群比較二重盲検試験「TRIBUTE試験」の結果で、Lancet誌オンライン版2018年2月8日号で発表された。

COPD増悪頻度を52週間投与して比較
 研究グループは2015年5月29日~2017年7月10日にかけて、17ヵ国187ヵ所の医療機関を通じ、高度・極めて高度の気流閉塞を伴い、前年に中等度・重度の増悪が1回以上あり、吸入薬の維持療法を行っている症候性COPDの患者1,532例を対象に試験を行った。

 導入期間2週間における1日1回吸入のインダカテロール85μg+グリコピロニウム43μg(IND/GLY)の投与後、被験者を無作為に2群に分けた。一方には細粒子(空気動力学的中央粒子径[MMAD]2μm未満)ベクロメタゾン87μg+フマル酸ホルモテロール5μg+グリコピロニウム9μgの1日2回吸入を(BDP/FF/G群、764例)、もう一方にはIND/GLY(85μg/43μg)1日1回吸入を(IND/GLY群、768例)、それぞれ52週間行った。無作為化では、参加国および気流閉塞の重症度により層別化を行った。

 主要評価項目は、治療52週間における中等度~重度のCOPD増悪頻度だった。解析には、1回以上試験薬の投与を受け、ベースライン以降に1回以上有効性の評価を受けた全無作為化被験者を含んだ。

COPD増悪リスクは3剤併用群で有意に減少
 中等度~重度COPD増悪の頻度は、IND/GLY群0.59/患者年(95%信頼区間[CI]:0.53~0.67)に対し、BDP/FF/G群は0.50(同:0.45~0.57)だった(率比:0.848、同:0.723~0.995、p=0.043)。

 有害事象の発現率は、BDP/FF/G群64%(764例中490例)、IND/GLY群67%(768例中516例)と両群で同等だった。肺炎の発症率は、両群ともに4%だった。治療関連の重篤な有害事象は、両群ともに1例ずつ(BDP/FF/G群:排尿障害、IND/GLY群:心房細動)が報告された。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 山本 寛( やまもと ひろし ) 氏

東京都健康長寿医療センター 呼吸器内科 部長

J-CLEAR推薦コメンテーター