電子タバコの使用増加と禁煙成功率/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/27

 

 英国では、電子タバコの使用の増加と禁煙試行の変動の関連は明確ではないものの、電子タバコの使用増加によって、禁煙試行の成功率が上昇していることが、英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのEmma Beard氏らの検討で示された。また、電子タバコは、医師の処方によるニコチン代替療法薬の使用を減少させたが、他の禁煙支援サービスとの関連は認めないこともわかった。研究の成果は、BMJ誌2016年9月13日号に掲載された。近年、電子タバコ使用の増加が、禁煙活動を阻害している可能性が懸念されている。これが事実であれば、たとえ電子タバコを使用する喫煙者の禁煙成功率が上昇したとしても、公衆衛生学上の電子タバコの影響はネガティブである可能性があるという。

禁煙試行、禁煙成功、薬物療法、支援サービスとの関連を時系列に評価
 研究グループは、英国における電子タバコの使用の変動が、禁煙試行やその成功、および禁煙試行における薬物療法や禁煙支援サービスの利用に及ぼす影響を推定するために、時系列的アプローチを用いた実証研究を行った(Cancer Research UKなどの助成による)。

 解析には、英国の16歳以上を対象とする反復的な横断的世帯調査であるSmoking Toolkit Studyの参加者のデータを用いた。2006~15年に、約1,200人の喫煙者のデータを年4回収集した。また、全国行動支援プログラムのモニタリング・データから、試験期間中に禁煙支援サービスで禁煙日を設定した802万9,012例のデータを解析に含めた。

 喫煙者および禁煙試行者の電子タバコの使用データを用いて、禁煙成功率を予測した。また、喫煙者の電子タバコの使用データを用いて、禁煙試行率を予測した。さらに、電子タバコを用いた禁煙試行率のデータからは、処方箋医薬品、処方箋または薬局で購入したニコチン代替療法薬、および行動支援の利用による禁煙試行率を予測した。

喫煙者、禁煙試行者の双方で禁煙率が改善
 禁煙の成功率は、喫煙者の電子タバコの使用率が1%増加するごとに、有意に0.098%上昇し(95%信頼区間[CI]:0.064~0.132、p<0.001)、禁煙試行者の電子タバコの使用率が1%増加するごとに、有意に0.058%(95%CI:0.038~0.078、p<0.001)上昇した。

 電子タバコの使用が、禁煙試行率(β:0.025、95%CI:-0.035~0.085、p=0.41)、薬局で購入したニコチン代替療法薬の使用(β:0.006、95%CI:-0.088~0.077、p=0.89)、処方箋医薬品の使用(β:-0.070、95%CI:-0.152~0.013、p=0.10)、行動支援の利用(β:-0.013、95%CI:-0.102~0.077、p=0.78)と関連することを示すエビデンスは認めなかった。

 一方、禁煙試行中の電子タバコの使用と、処方箋で入手したニコチン代替療法薬の使用には負の相関が認められた(β:-0.098、95%CI:-0.189~-0.007、p=0.04)。

 著者は、「本試験の知見は、『電子タバコの使用の増加は禁煙を阻害する』との仮説に反するものであった。電子タバコの使用増加は、処方箋によるニコチン代替療法を抑制するとともに、禁煙の成功に寄与している可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)