血圧管理は脳出血の再発を抑制するか/JAMA

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血圧管理は脳出血の再発を抑制するか/JAMAのイメージ

 脳出血(ICH)発症後の生存例では、適切な血圧管理により再発リスクが改善することが、米国・マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らの検討で明らかとなった。ICHは、主に細動脈硬化と脳アミロイド血管障害(CAA)によるものに分けられ、細動脈硬化関連ICHのほとんどが脳の深部構造で発症するのに対し、CAA関連ICHは皮質~皮質下領域(脳葉)にほぼ限定される。ICH生存例は再発リスクが高く、一般に再発ICHは初発ICHよりも重症であるため、2次予防戦略の改善が重要とされる。一方、非脳葉型ICHの再発の予防では血圧管理が重要とされるが至適な降圧に関するデータはほとんどなく、脳葉型ICHにおける降圧の役割はほとんど知られていないという。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。

1,145例で2次予防における血圧管理の意義を評価
 研究グループは、ICH生存例において、適切な血圧管理による脳葉型および非脳葉型ICHの再発リスクの抑制効果を検討する縦断的コホート試験を実施した(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成による)。

 対象は、年齢18歳以上、1994年7月~2011年12月までにマサチューセッツ総合病院に入院し、CTで診断が確定された発症後24時間以内のICHで、90日以上生存した患者であった。外傷や血管奇形/動脈瘤破裂などによる出血は除外した。

 血圧は、医療従事者または患者自身が3、6、9、12ヵ月、その後は6ヵ月ごとに測定し、収縮期(SBP)および拡張期血圧(DBP)を記録した。

 各測定時点で、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)によるICHの2次予防の推奨血圧(非糖尿病者:SBP<140mmHg、DBP<90mmHg、糖尿病者:SBP<130mmHg、DBP<80mmHg)が達成されている場合は血圧管理が「適切」、達成されていない場合は「不十分」とした。また、米国合同委員会第7次報告(JNC7)の判定基準で高血圧のステージを判定した。

 主要評価項目はICHの再発および脳内の再発部位(脳葉、非脳葉)とした。

 1,145例が解析の対象となり、そのうち脳葉型ICHが505例(平均年齢73.4±11.4歳、男性51.6%)、非脳葉型ICHは640例(68.7±13.3歳、56%)であった。フォローアップは2013年12月まで行われ、期間中央値は36.8ヵ月(四分位範囲:16.2~55.4)であり、最短は9.8ヵ月だった。

不十分な血圧管理でリスクが約4倍に、高血圧が重症化するほどリスク上昇
 脳葉型ICH患者のうち102例がICHを再発し、非脳葉型ICH患者では44例が再発した。フォローアップ期間中の血圧測定で、血圧管理が1回以上「適切」と判定された患者は625例(54.6%)であり、すべての測定時点で「適切」であった患者は495例(43.2%)だった。

 脳葉型ICH患者の再発率は、血圧管理適切例が1,000人年当たり49件であったのに対し、不十分例では84/1,000人年であった。また、非脳葉型ICH患者の再発率は、適切例が27/1,000人年、不十分例は52/1,000人年だった。

 血圧管理を時間依存変数とするモデル解析では、不十分な血圧管理は、脳葉型ICH(ハザード比[HR]:3.53、95%信頼区間[CI]:1.65~7.54)および非脳葉型ICH(4.23、1.02~17.52)の双方で再発リスクを有意に増大させた。

 正常血圧(SBP:90~119mmHg、DBP:60~79mmHg)と比較して、高血圧前症(HR:2.76、95%CI:1.32~5.82)、ステージ1高血圧(3.90、1.36~11.17)、ステージ2高血圧(5.21、2.74~9.91)のいずれにおいても、脳葉型ICHの再発リスクが有意に高く、重症度が上がるほどリスクが増加した。また、非脳葉型ICHの再発リスクは、高血圧前症(3.06:1.07~8.78)とステージ1高血圧(3.88、1.31~11.61)では有意に増加したが、ステージ2高血圧(6.23、0.90~42.97)では有意ではなかった。

 SBPの上昇により、脳葉型ICH(10mmHg上昇ごとのHR:1.33、95%CI:1.02~1.76)および非脳葉型ICH(HR:1.54、95%CI:1.03~2.30)の双方の再発リスクが有意に増加した。

 DBPの上昇では、脳葉型ICH(10mmHg上昇ごとのHR:1.36、95%CI:0.90~2.10)の再発リスクは増大しなかったが、非脳葉型ICH(HR:1.21、95%CI:1.01~1.47)の再発リスクは有意に増加した。

 年間再発リスクは、脳葉型、非脳葉型ICHの双方とも、SBPが高くなるほど増大し、とくに140mmHgを超えると急激に増加する傾向が認められた。また、DBPについても同様の関連がみられ、90mmHgを超えると急激にリスクが上昇した。

 著者は、「ICH生存例では、フォローアップ期間中の血圧管理が不十分であると、脳葉型および非脳葉型ICHの双方で再発リスクが有意に上昇した」とまとめ、「より厳格な血圧管理のリスクとベネフィットを検討する無作為化臨床試験を行う必要があることが示唆される」としている。

(菅野守:医学ライター)

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横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学教室 准教授

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