ステント留置後DAPT投与の至適期間は?/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/05/07

 

 薬剤溶出ステント埋設を伴う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の推奨投与期間は12ヵ月間とされているが、根拠に乏しく議論の的となっている。ドイツ・ハインリッヒハイネ大学のEliano Pio Navarese氏らは至適な投与期間を明らかにするため、無作為化試験のメタ解析による検討を行った。その結果、12ヵ月未満の短期間投与は、虚血性の合併症を増大することなく出血を抑制し、大半の患者において至適と考えられること、出血リスクが低く虚血性リスクが非常に高い患者では12ヵ月超の長期間投与が至適と考えられることを示した。なお12ヵ月超の投与について、心血管死は増大しないが全死因死亡の増大がみられ、さらなる検討が必要だと述べている。BMJ誌オンライン版2015年4月16日号掲載の報告より。

12ヵ月間を標準とし、12ヵ月未満の短期または12ヵ月超の長期と比較
 レビューとメタ解析は、PubMed、Embase、Cochrane Libraryなどを介して2002年1月1日~2015年2月16日に発表された論文を検索して行われた。

 無作為化試験を選択し、DAPT投与期間が12ヵ月間である試験を標準として、短期間(12ヵ月未満)投与試験または長期間(12ヵ月超)投与試験との比較を行った。

 主要アウトカムは、心血管死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、重大出血、全死因死亡であった。

短期投与群の重大出血オッズ比0.58
 解析には無作為化試験10件、3万2,287例のデータが組み込まれた。

 分析の結果、12ヵ月の標準群と比較して短期間投与群は、重大出血の有意な減少との関連がみられた(オッズ比[OR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.36~0.92、p=0.02)。虚血性または血栓性のアウトカムについては有意な差はみられなかった。

 一方、長期間投与群は、心筋梗塞(OR:0.53、95%CI:0.42~0.66、p<0.001)、ステント血栓症(同:0.33、0.21~0.51、p<0.001)は有意に減少したが、重大出血は有意な増大がみられた(同:1.62、1.26~2.09、p<0.001)。また、心血管死亡は増大しなかったが全死因死亡の有意な増大もみられた(同:1.30、1.02~1.66、p=0.03)。