ITを活用した肥満児のプライマリ共同ケアモデル、効果には疑問/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/27

 

 3~10歳の肥満児に対する、一般開業医と体重マネジメント専門サービス(小児科医3人、栄養士2人)による「共同ケアモデル」の介入は、実行可能で有害性はなく、家族と一般医からの評価は高いが、対照群と比較してBMIならびに他のアウトカムを改善しなかったことが明らかになった。オーストラリア・王立小児病院のMelissa Wake氏らが無作為化試験の結果、報告した。同国では、専門的な肥満治療クリニックにアクセスできる肥満児が限られているという。共同ケアモデルはITを駆使したもので、アクセス改善が期待されたが、その有効性は検証されていなかった。BMJ誌オンライン版2013年6月10日号掲載の報告より。

共同ケアモデル介入群と通常ケア群のアウトカムを比較
 本検討は、メルボルン市のファミリークリニック22施設(一般開業医35人)と体重マネジメントサービス1施設(小児科医3人、栄養士2人)で行われた。2009年7月~2010年4月にかけてBMI 95パーセンタイル以上の3~10歳の小児が、一般開業医を通じて集められた。

 小児は無作為に、専門サービスを1回受けたあと11人の一般開業医による診察(ウェブ上のソフトウェアを介した共同ケアサポートで)を1年間にわたって受ける群(介入群)と、通常ケアを受ける群(対照群)に割り付けられた。割付情報は、アウトカムデータを集めた研究者には知らされなかった。

 主要アウトカムは、小児のBMIのzスコアで、そのほかに体脂肪率、腹囲、身体活動度、食事の質、健康関連QOL、自己評価と身体的不満、両親のBMIについても評価が行われた。評価はすべて試験登録後15ヵ月時点で行われた。

両群とも改善、共同ケアモデルの有効性あるいは有害性のエビデンスは見つからない
 118例の小児が集められ(介入群60例、対照群56例)、そのうち107例(91%)のケアが継続され解析に組み込まれた(介入群56例、対照群51例)。介入継続の小児は、専門サービスと、体重管理の専門医の診察を少なくとも1回[平均:3.5(SD 2.5、範囲:1~11回)]受けた。

 解析の結果、両群のアウトカムについて、BMI(補正後平均差:-0.1、95%信頼区間[CI]:-0.7~0.5、p=0.7)、BMI zスコア(同:-0.05、-0.14~0.03、p=0.2)のいずれも有意差はなく同程度だった。

 同様に、すべての副次アウトカムについて、有効性あるいは有害性のエビデンスは見つからなかった。

 複合コホートではアウトカムのバラつきが大きかった[BMI zスコア変化の平均値:-0.20(SD 0.25、範囲:-0.97~0.47)]。

 体重改善は、肥満から過体重になった小児は26%、正常体重に改善したのは2%だった。

 著者は「両群でBMI改善はみられ、有効性の評価では非治療対照群の価値が強調される結果であった」とまとめている。