MTX無効の関節リウマチへのDMARDs 3剤併用、MTX+エタネルセプトに非劣性/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/21

 

 メトトレキサート(MTX)単剤療法の効果が十分でない関節リウマチ(RA)患者に対し、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の3剤併用療法(MTX+サラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン)の効果は、MTX+エタネルセプトの2剤併用療法に対し非劣性であることが、米国・ネブラスカ大学医療センターのJames R. O’Dell氏らが実施したCSP 551 RACAT試験で示された。本試験は、欧州リウマチ学会(EULAR、スペイン・マドリード市)で報告され、NEJM誌オンライン版2013年6月11日号に掲載された。RAの治療はMTXで開始されることが多いが、MTX単剤で疾患活動性が低下する患者は約30%にすぎない。MTXの効果が不十分な場合に使用可能な生物学的製剤やDMARDsはいくつかあるが、RAは現在、糖尿病よりも治療コストの高い疾患となっており、その費用の大部分を生物学的製剤が占めるという。(※ヒドロキシクロロキンは国内未承認)

非劣性を二重盲検無作為化試験で検証
 CSP 551 RACAT試験は、MTX単剤療法が無効なRAの治療における、MTXへのサラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン追加3剤併用療法の、MTXへのエタネルセプト追加2剤併用療法に対する非劣性を検証する二重盲検無作為化試験。

 MTX単剤療法の効果が不十分であったRA患者が3剤併用群または2剤併用群に無作為に割り付けられ、48週の治療が行われた。治療24週の時点で効果が得られなかった患者は、二重盲検下にもう一方の治療群へ切り替えられた。

 主要評価項目は、48週後の疾患活動性スコア(DAS28)の変化とした。

3剤から2剤併用への切り替えが費用対効果に優れる可能性
 2007年7月~2010年12月までに353例が登録され、3剤併用群に178例(平均年齢:57.8歳、女性:43.3%、平均DAS28スコア:5.8)、2剤併用群には175例(56.0歳、48.6%、5.9)が割り付けられた。

 両群ともに、治療24週時にDAS28の有意な改善効果が認められ(いずれもベースラインとの比較でp=0.001)、治療の切り替えを要した患者はいずれの群も27%であった。

 両群ともに、治療切り替え例は切り替え後にDAS28が有意に改善し(いずれもp<0.001)、切り替え後の効果に群間差はみられなかった(p=0.08)。

 ベースラインから治療48週までに、DAS28は3剤併用群で2.1低下し、2剤併用群では2.3低下した(p=0.26)。DAS28の変化の差の95%信頼区間[CI]上限値は0.41であり、非劣性のマージンである0.60よりも低かったことから、3剤併用群は2剤併用群に対し非劣性であることが示された(非劣性検定:p=0.002)。

 X線画像上の疾患進行、疼痛、健康関連QOLなどの副次的評価項目や、主な治療関連有害事象の発現頻度に群間差は認めなかった。

 著者は、「3剤併用療法の臨床的ベネフィットは2剤併用療法に対し非劣性であることが示された」と結論し、「MTXが無効なRAでは、まずMTXに従来のDMARDs 2剤を追加した3剤併用療法を施行し、効果が十分でない場合にMTX+エタネルセプトによる2剤併用療法に切り替える戦略が、費用対効果に優れる治療法となる可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 杉原 毅彦( すぎはら たかひこ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 膠原病・リウマチ科 医長

J-CLEAR評議員