睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝子変異を確認

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/29

 

不穏下肢症候群(RLS)は、脚を動かしたいという抑えられない衝動を特徴とする一般的にみられる神経性障害である。RLSは睡眠を妨げる一因となり、そのためRLS患者の大部分で睡眠時周期性四肢運動障害を有すると同時に、同疾患の生理学的指標とされている。

 deCODEジェネティクス社(アイスランド)のHreinn Stefansson氏らは、RLSの一因と言われてきた遺伝子配列変異体を捜すため、ゲノムワイド関連研究と2つの再現性研究を実施した。NEJM誌オンライン版7月18日号、本誌8月16日号より。

6番染色体イントロンでの変異体との関連性を確認


本研究では表現型の不均一性による影響を最小とするため、睡眠時周期性四肢運動障害が客観的に確認できたRLS患者に焦点を当てた。またRLSの発症過程では鉄分欠乏との関連が言われており、血清フェリチン値を測定した。

アイスランドにおけるRLS患者および睡眠時周期性四肢運動障害を有する患者サンプルから、6番染色体上のBTBD9イントロンで共通の変異体と、ゲノムワイドでの重要な関連性が観察された〔オッズ比1.8、P = 2×10(-9)〕。同様の関連性はアイスランドの第2サンプルでもみられ〔オッズ比1.8、P = 4×10(-4)〕、さらに米国のサンプル〔オッズ比1.5; P = 4×10(-3)〕でも確認された。この遺伝子変異が認められる場合の、周期性四肢運動障害を伴うRLSの集団寄与危険度は約50%だった。

鉄分欠乏の病因関与も濃厚


Stefansson 氏らは、「本研究によって睡眠時周期性四肢運動障害に対する感受性に関連する変異体が発見された。この変異体と、RLSを伴わない睡眠時周期性四肢運動障害が関連すること(ならびに周期性四肢運動障害のないRLSとは関連がないこと)は、睡眠時周期性四肢運動障害の遺伝的決定因子を同定したことを示唆するものである〔オッズ比1.9、P = 1×10(-17)〕」と結論付けた。

また血清フェリチン値がリスクのある変異体の対立遺伝子それぞれにつき13%低下していた結果(95%信頼区間5-20、P = 0.002)から、「変異体と鉄分貯蔵との逆相関は、鉄分の欠乏が本疾患の病因として関与が疑われていることと一致している」とも述べている。

(朝田哲明:医療ライター)