高齢男性の骨粗鬆症性骨折予防治療の費用対効果は?

提供元:ケアネット

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公開日:2007/08/21

 

60歳白人男性が残りの生涯で、骨粗鬆症が原因で骨折する可能性は29%に上るなど、高齢男性の骨粗鬆症性骨折は重大な健康問題と認識されている。カナダ骨粗鬆学会は70歳以上あるいは65歳以上の全男性で骨密度検査を行うべきと提唱しているが、米国予防医療対策委員会やカナダ予防医療対策委員会では勧告を行っていない。女性については65歳以上での骨密度検査と予防的治療の費用対効果が実証されているが、男性については明らかになっていないため。

そこでミネアポリスのPark Nicollet Health Servicesリウマチ学のJohn T. Schousboe氏らは、男性について費用対効果を検証した。JAMA誌8月8日付け報告から。

生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストを比較


Schousboe 氏らは、骨密度検査の結果、骨粗鬆症と判明した男性(大腿骨頸部Tスコア-2.5以下)で、骨折予防を目的に5年間ビスフォスフォネートを投与した群と非介入群との費用対効果を比較した。コンピュータでMarkov microsimulation modelを作成し、65、70、75、80、85歳男性を骨折経験の有無で階層化し検証した。

主要評価項目は、骨密度検査を行いフォローアップした治療群と非介入群との、生活の質を調整した生存年(QALY)当たりのコストの差、および治療戦略ごとの生涯コストおよびQALYsの累積とした。

得られる利益のために支払ってよいとする額次第で


介入群ではQALY当たりの生涯コストは上がったものの、骨折経験のある65歳以上の男性と骨折経験のない80歳以上の男性では50,000ドル未満で、費用対効果の可能性が確認できた。この結果は、ビスフォスフォネートのコストと骨折率低下の有効性への感受性が最も高く、骨塩量と骨折、骨折率と不利益、服薬遵守との相関も強かった。

Schousboe氏らは、「経口ビスフォスフォネートのコストが年間500ドル未満の場合、あるいは、QALY当たりのコストを100,000ドルまで支払ってもよいという社会的合意がある場合は、骨折経験のない70歳以下の男性にもこの治療戦略の有効性は認められる」と結論付けている。

(武藤まき:医療ライター)