無細胞百日咳を含む混合ワクチンの熱性痙攣リスク、てんかんリスクは?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/03/06

 



ジフテリア・破傷風・無細胞百日咳/ポリオ/ヘモフィルスインフルエンザb型菌(DTaP-IPV-Hib)混合ワクチンの接種後リスクについて、接種当日の熱性痙攣のリスクが、3ヵ月齢での接種第1回目、5ヵ月齢での接種第2回目当日のリスクは4~6倍に増大することが報告された。しかし、絶対リスクは小さく、てんかんのリスクについては増大は認められなかった。デンマーク・Aarhus大学のYuelian Sun氏らが、約38万人の乳幼児について行ったコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月22・29日号で発表した。これまで、全細胞百日咳ワクチンは熱性痙攣リスクを増大することが知られていたが、無細胞百日咳ワクチンについての同リスクとの関連は明らかではなかった。

ワクチン接種後の熱性痙攣リスクと初回接種後てんかんリスクを評価




研究グループは、デンマークで2003年1月1日~2008年12月31日に生まれた37万8,834人を対象に、2009年末まで追跡調査を行った。

主要アウトカムは、生後3ヵ月、5ヵ月、12ヵ月で接種されるDTaP-IPV-Hibワクチン接種後7日以内(0、1~3、4~7日)の熱性痙攣発症と、初回ワクチン接種後のてんかんの発症(ハザード比)についてであった。自己対照ケースシリーズ法(SCCS)を用いて、相対罹患率を割り出した。

結果、被験者のうち、生後18ヵ月以内に熱性痙攣を発症したのは7,811人だった。そのうち初回ワクチン接種後7日以内に発症したのは17人(0.8人/10万人・日)、第2回接種後の同発症は32人(1.3人/10万人・日)、第3回接種後の同発症は201人(8.5人/10万人・日)だった。
初回ワクチン接種当日の熱性痙攣リスクは6倍、第2回接種当日の同リスクは4倍に




全体として、ワクチンの1~3回接種後7日以内の熱性痙攣発症リスクは、参照コホートと比べて有意な増大は認められなかった。

しかし、初回ワクチン接種当日(ハザード比:6.02、95%信頼区間:2.86~12.65)、第2回接種当日(同:3.94、2.18~7.10)で同リスクは有意に増大することが認められた。ただし、第3回接種当日の同発症リスクの増大はみられなかった。SCCSによる分析結果も、同様だった。

てんかんの発症については、7年間の追跡調査期間中、ワクチン非接種群で131人、ワクチン接種群で2,117人の発症が認められた。

ワクチン接種後3~15ヵ月に、てんかんであると診断されたのは813人(1,000人・年当たり2.4)、その後に診断されたのは1,304人(同1.3)だった。接種群と非接種群との比較で、てんかん発症リスクは、ワクチン接種後3~15ヵ月では低く(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.50~0.79)、その後は同等だった(同:1.01、0.66~1.56)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)