慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/10

 



65歳未満の慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果について、デンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institu:SSI)のHanne-Dorthe Emborg氏らが、2009~2010シーズンに同ワクチン接種を受けたデンマーク住民を対象とした後ろ向きコホート研究の結果を報告した。新型H1N1インフルエンザワクチンの疫学研究では、一般市民対象で70%以上の有効性があることが示されている。しかし、これまで基礎疾患を有する人の有効性については評価がされていなかった。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載報告より。

デンマークの慢性疾患で罹患した約39万人のデータを調査




Emborg氏らは、報告義務に基づき収集された、デンマークの新型H1N1インフルエンザの感染患者および入院患者のデータベースを基に、基礎疾患を有していた人のワクチン効果について評価を行った。

具体的には2009年11月2日~2010年1月31日の間に、過去5年間に1つ以上の、インフルエンザ罹患後のリスクが増大すると予想される基礎疾患を有していた、65歳未満の38万8,069例(同国65歳未満人口の8.4%に相当)が対象となった。被験者のうち、基礎疾患が1つであった人が最も多く80.8%を占めた。

主要評価項目は、新型H1N1インフルエンザの感染がラボ確認された、または入院が新型H1N1インフルエンザ感染であったとラボ確認された人で、年齢と基礎疾患について補正を行いワクチン効果を推定した。

慢性疾患の数が多い人ほどワクチン接種率が高いが感染率も高い




ワクチン接種に関して、新型H1N1インフルエンザワクチンの接種は高年齢ほど高かった。また、どの年代も新型H1N1インフルエンザワクチンの接種率のほうが季節性ワクチンの接種率よりも高かったが、その差は若い年代(0~39歳)のほうが高かった。

両ワクチンの接種率は、基礎疾患の数が多い人ほど高かった。一方で、基礎疾患の数が多い人のほうが、新型H1N1インフルエンザ感染が高いことも見受けられた。

全体で、新型H1N1インフルエンザワクチン接種を1回以上受けた人は7万9,988例(20.6%)で、そのうちワクチン接種開始最初の週で接種を受けていたのは46%だった。2回目接種は大半が、2009年49週目以降とインフルエンザシーズン中盤以降に受けていた。

感染は単回接種後1週間が最も増大し、感染に対するワクチン推定効果は-112%(95%信頼区間-187~-56%)だった。しかし14日以降では49%(同:10~71%)だった。なお、感染は若い年代ほど高かった。

入院に対するワクチンの有効性も、接種後1週間が最も低く-258%(同:-464~-127%)だったが、14日以降では44%(同:-19~73%)だった。

これら所見からEmborg氏は、「2009~2010シーズンは、ワクチン接種がシーズン後半になって行われていた。慢性疾患を有する人では、入院に対する有意なワクチン効果は認められなかったが、感染に対する予防効果は認められた」と述べ、「これら所見は、パンデミックワクチンの主要ターゲットは慢性疾患を有する人であること、およびワクチン効果は接種が遅くとも認められることを示すものである」と結論している。