心血管疾患の生涯リスクの差は、リスク因子の違いによる

提供元:ケアネット

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公開日:2012/02/08

 



心血管疾患の生涯リスクについて、黒人および白人の全年齢階層にわたって幅広く検討した結果、そのリスクの顕著な差は、個々人のリスク因子プロファイルの違いによるもので、人種や出生コホート群を問わず一貫したものであることが明らかにされた。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのJarett D. Berry氏らが、18の試験に参加した25万7,000人余のデータについて行ったメタ解析の結果、報告したもので、NEJM誌2012年1月26日号で発表された。

黒人・白人の男女計25万7,384例のデータを基にメタ解析




Berry氏らが解析対象としたのは、米国で過去50年間に行われた長期疫学コホートの被験者データを収集した「Cardiovascular Lifetime Risk Pooling Project」に組み込まれた参加者の個人データで、18試験の黒人・白人の男女計25万7,384例のデータであった。被験者は心血管疾患のリスク因子に関して、45、55、65、75歳時に測定を受けていた。

それらデータから血圧値、コレステロール値、喫煙状況、糖尿病状態を用いて、参加者を5つのリスク因子プロファイルカテゴリー(全リスクが至適、至適でないリスク因子が1つ以上、上昇したリスク因子が1つ以上ある、重大リスク因子が1つある、重大リスク因子が2つ以上ある)に分類し、残る余生に推定される心血管イベントの生涯リスクを、45、55、65、75歳の各年齢カテゴリー群別に算出した。心血管疾患生存例は競合イベントとして処理された。
人種や出生コホート群を問わず傾向は同じ




結果、リスク因子プロファイルの全カテゴリーにわたり、心血管疾患生涯リスクについて顕著な差が認められた。

55歳群において、リスク因子プロファイルが至適であった群(総コレステロール<180mg/dL、血圧:収縮期<120/拡張期<80、非喫煙、非糖尿病)は、重大リスク因子が2つ以上ある群と比べて、心血管疾患死のリスクが80歳まで大幅に低かった(男性間:4.7% vs. 29.6%、女性間:6.4% vs. 20.5%)。

至適リスク因子プロファイルを有する群は、致死性冠動脈心疾患または非致死的心筋梗塞の生涯リスク(男性間:3.6% vs. 37.5%、女性間:<1% vs. 18.3%)、また致死的・非致死的脳卒中の生涯リスク(男性間:2.3% vs. 8.3%、女性間:5.3% vs. 10.7%)も低かった。

同様の傾向は、黒人コホートおよび白人コホート、また多様な出生コホートを問わず認められた。