子宮内容除去術後のhCG高値持続例は経過観察で

提供元:ケアネット

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公開日:2012/01/26

 



胞状奇胎妊娠女性に対する子宮内容除去術から6ヵ月以降もヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)高値が持続する場合、化学療法を行わなくとも、一定の指針に基づいて経過を観察すれば、hCG値は自然に低下する可能性が高いことが、英国Imperial College LondonのRoshan Agarwal氏らの検討で示された。イギリスでは妊娠1,000件当たり1~3件の頻度で全胞状奇胎または部分胞状奇胎がみられ、奇胎妊娠女性には妊娠第1期の膣出血や、血清あるいは尿中hCG値の上昇が認められる。胞状奇胎に対する子宮内容除去術から6ヵ月後もhCG値の上昇がみられる場合は、その価値は下落しつつあるとはいえ、妊娠性絨毛性疾患として化学療法が適応されるという。Lancet誌2012年1月14日号(オンライン版2011年11月29日号)掲載の報告。

経過観察群と化学療法群をレトロスペクティブに評価




研究グループは、胞状奇胎妊娠に対し子宮内容除去術を施行後もhCG値の上昇が持続する患者に対し、現在でも化学療法は必須か否かを評価するために、レトロスペクティブなコホート試験を実施した。

1993年1月~2008年5月までにCharing Cross病院(ロンドン市)を受診し、胞状奇胎の子宮内容除去術から6ヵ月後もhCG高値が持続していた患者を登録した。6ヵ月以降も経過観察のみを続けた患者と、化学療法を施行した患者においてhCG値の正常化率、再発率、死亡率の評価を行った。

一定の指針に基づく経過観察は、患者の75%以上でhCG値が正常に帰した場合に臨床的に許容されることとした。
hCG値正常化率:98% vs. 80%




胞状奇胎の妊婦1万3,960例のうち、子宮内容除去術から6ヵ月以降もhCG値>5IU/Lが持続した患者は76例(<1%)であった。

これらの患者のうち経過観察のみを行ったのは66例(87%)で、そのうち65例(98%)が化学療法を受けずにhCG値が自然に正常に帰した。残りの1例は慢性腎不全が原因でhCG値が正常化しなかったが、現在は健康を維持している。

化学療法を受けた10例のうち、hCG値が正常化したのは8例(80%)で、残りの2例はhCG値がわずかに高値(6~11 IU/L)を維持したが、それ以上の治療を行わなくとも臨床的な問題は生じなかった。この経過観察群98%、化学療法群80%という正常化率には有意差が認められた(p=0.044)。

子宮内容除去術から6ヵ月後のhCG値中央値は、化学療法群よりも経過観察群で有意に低かった(13 IU/L[5~887] vs. 157 IU/L[6~6、438]、p=0.004)が、それ以外の因子は両群間に有意な差はみられなかった。両群ともに死亡例は認めなかった。

著者は、「子宮内容除去術から6ヵ月以降もhCG高値が持続する胞状奇胎妊娠女性には、化学療法よりも一定の指針に基づく経過観察が推奨される」と結論し、「化学療法はhCG値345 IU/L以上が持続する場合に考慮すべき」としている。

(菅野守:医学ライター)