腎細胞がんに対するセカンドライン治療の第III相試験、axitinib対ソラフェニブ

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/22

 



新規の分子標的薬であるaxitinibは、進行腎細胞がんに対するセカンドライン治療の標準的治療薬であるソラフェニブに比べ、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、新たな選択肢となる可能性があることが、米国・Cleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのBrian I Rini氏らが行ったAXIS試験で示された。毎年、世界で約17万人が腎細胞がんと診断され、7万2,000人が死亡している。多くが切除不能な進行病変として発見され、局所病変の多くは再発し、化学療法薬やサイトカイン製剤に抵抗性を示す頻度も高い。進行腎細胞がんの治療は分子標的薬の登場によって激変したが、現在まで分子標的薬同士の効果を比較した第III相試験の報告はされていなかった。Lancet誌2011年12月3日号(オンライン版2011年11月4日号)掲載の報告。

2つの分子標的薬を直接比較する無作為化第III相試験




AXIS試験の研究グループは、第2世代の選択的血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体阻害薬であるaxitinibと、欧米で転移性腎細胞がんのセカンドライン治療として承認されているVEGF受容体阻害薬ソラフェニブの有用性を比較する無作為化第III相試験を行った。

22ヵ国175施設から、ファーストライン治療としてスニチニブ、ベバシズマブ+インターフェロンα、テムシロリムス、サイトカイン製剤を用いた治療を行っても病勢が進行した18歳以上の腎細胞がん患者が登録された。これらの患者が、axitinib(5mg、1日2回)あるいはソラフェニブ(400mg、1日2回)を経口投与する群に無作為に割り付けられた。axitinibは、高血圧やグレード2以上の有害反応が発現しなければ7mg、10mgへと増量してもよいこととした。

患者および担当医には治療薬はマスクされなかった。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、マスクされた独立の画像審査員によって判定され、intention-to-treat解析が行われた。

PFS中央値が2ヵ月延長




723例が登録され、axitinib群に361例、ソラフェニブ群には362例が割り付けられた。PFS中央値はaxitinib群が6.7ヵ月と、ソラフェニブ群の4.7ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比:0.665、95%信頼区間:0.554~0.812、p<0.0001)。

有害事象による治療中止は、axitinib群で4%(14/359例)に、ソラフェニブ群は8%(29/355例)に認められた。最も高頻度にみられた有害事象は、axitinib群が下痢、高血圧、疲労感で、ソラフェニブ群は下痢、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛であった。

著者は、「axitinibは、ソラフェニブに比べPFSを有意に延長したことから、進行腎細胞がんのセカンドライン治療の選択肢となる可能性がある」と結論し、「現時点では全生存期間(OS)のデータは不十分なため、さらなる追跡を行う予定である」としている。

(菅野守:医学ライター)