腹部大動脈瘤に対する血管内治療と開腹手術の長期比較は一長一短

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腹部大動脈瘤の血管内治療は開腹手術より、周術期における死亡率と罹患率が低いことは、すでに無作為化試験で示されているが、より長期の生存率では両者に違いはない。これまで長期にわたる住民ベースの大規模な比較調査も行われていなかった。そこでベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのMarc L. Schermerhorn氏らが、腹部大動脈瘤の治療をメディケアで受給した患者集団を最長4年余にわたって追跡した。NEJM誌2008年1月31日号より。

2001~2004年にメディケアで治療を受けた45,660例を追跡調査




2001~2004年にメディケアで腹部大動脈瘤を治療した患者のうち、血管内治療と開腹手術を受けた者を同種の性質・傾向を持つコホートに分け、周術期死亡率や合併症発生率、長期生存率、破裂率、再介入率の比較を2005年まで追跡調査した。

同期間に腹部大動脈瘤の治療を受けた患者で条件の一致したコホートは各22,830例、計45,660例を対象に検討した。平均年齢76歳、女性の割合が約20%。

血管内治療は再介入が多いが開腹手術は入院が増える




周術期死亡率は、血管内治療後のほうが開腹手術後より低かった(1.2%対4.8%、P<0.001)。両コホートの死亡率の差は67~69歳の2.1%から85歳以上の8.5%へ、年齢とともに増加した(P<0.001)。また両コホートの生存曲線は3年後まで収束しなかったが、それ以降の生存率は同等だった。

破裂率は、4年後までは血管内治療コホートのほうが開腹手術コホートより高かった(1.8%対0.5%、P<0.001)。腹部大動脈瘤に関連した再介入率は、たとえそれが小規模なものでも、血管内治療のほうが開腹手術より高かった(9.0%対1.7%、P<0.001)。

対照的に、4年後までの大動脈瘤治療に関連した合併症への手術率は、開腹手術を受けたコホートのほうが、血管内治療を受けたコホートより高かった(9.7%対4.1%、P<0.001)。同様に、腸閉塞症または腹壁ヘルニアなど手術を伴わない入院率も、開腹手術を受けたコホートのほうが高かった(14.2%対8.1%、P<0.001)。

これらからSchermerhorn氏らは「腹部大動脈瘤の血管内治療は開腹手術よりも、短期的には死亡率も合併症発生率も低かった。この生存利益は高齢者ほど長期に及ぶことも明らかとなった。再介入が血管内治療のほうが多いが、それでもこの点は開腹手術の再介入と術後の入院増で平均化される」とまとめている。

(朝田哲明:医療ライター)

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