進行がん末期の緩和ケアを改善する新たな予後予測モデル「PiPS」が開発

提供元:ケアネット

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公開日:2011/09/16

 

 英国・St George’s University of LondonのBridget Gwilliam氏らは、進行がんの緩和ケアを改善可能な、新たな予後予測モデル「PiPS(Prognosis in Palliative care Study)」を開発したことを発表した。臨床変数と検査変数を組み合わせた同モデルは、もはや治療がなされない進行がん患者について、2週生存および2ヵ月生存を確実に予測できるという。BMJ誌2011年9月3日号(オンライン版2011年8月25日号)掲載報告より。

2週と2ヵ月の予後を、臨床家の推定よりも有意に良好に予測する因子を開発
 モデルの開発は、前向き多施設観察コホート研究にて行われ、臨床家が推定する生存よりも、有意に良好に予後を予測する指標を新たに開発することを目標とした。

 研究は、英国内の18の緩和ケアサービス(ホスピス、病院サポートチーム、コミュニティチームなど)を拠点に、今後がん治療はなされず緩和ケアサービスに一任されることになった局所進行型転移性がん患者1,018例が対象であった。患者が生存した「日数」(0~13日)または「週数」(14~55日)あるいは「月数+」(55日超)について、新たに開発した複合モデルの予測と、実際の生存、臨床家の予測とを比較した。

 
核となるのは11の変数
 多変量解析の結果、11の変数(脈拍、健康状態、メンタルテスト、パフォーマンス状態、摂食障害の有無、あらゆる部位の転移性疾患、肝転移の有無、CRP、白血球数、血小板数、尿素値)が、2週生存および2ヵ月生存の独立した予後予測因子であった。

 2週生存についてのみの有意な予後予測因子は、4つ(呼吸困難、嚥下障害、骨転移、ALT)であった。また、2ヵ月生存についてのみの有意な予後予測因子は8つ(原発性乳がん、男性生殖器がん、疲労、体重減少、リンパ球数、好中球数、ALP、アルブミン)であった。

 これらを踏まえ、研究グループは、血液検査結果がある患者(PiPS-A)と、ない患者(PiPS-B)とに分けた2つの予測モデルを開発した。それらモデルは、曲線下面積(AUC)0.79~0.86であった。

 実際の生存とPiPS予測との完全な一致率は、57.3%(超オプティミス的補正後で)であった。

 PiPS-A分類における生存期間の中央値は5日、33日、92日であった。PiPS-B分類での生存期間中央値は、7日、32日、100.5日であった。

 開発したすべてのモデルは、臨床家の推定とほぼ同等、またはよりよく生存を推定していた。