1型糖尿病患者に対する免疫療法としてのGAD-alumワクチン療法の可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2011/08/04

 



1型糖尿病患者に対する免疫療法としてのGAD-alum(水酸化アルミニウム配合グルタミン酸脱炭酸酵素)ワクチン療法について、無作為化二重盲検試験の結果、治療目標としたインスリン分泌の低下を抑制しなかったことが報告された。カナダ・トロント大学小児疾患病院のDiane K Wherrett氏らによる。GADは、1型糖尿病の自己免疫反応の主要なターゲットであり、非肥満性の自己免疫性糖尿病モデルのマウス実験では、糖尿病を予防する可能性が示されていた。Lancet誌2011年7月23日号(オンライン版2011年6月27日号)掲載報告より。

診断100日未満3~45歳145例を対象に、接種後1年間のインスリン分泌能を調査




試験は、アメリカとカナダ15施設から登録され適格基準を満たした、1型糖尿病との診断が100日未満の3~45歳145例を対象に行われた。

被験者は無作為に、GAD-alum 20μgの3回接種群(48例)、同2回接種+alum 1回接種群(49例)、alum 3回接種群(48例)の3つの治療群に割り付けられ、インスリン分泌能が維持されるかを観察した。

主要評価項目は、1年時点の血清Cペプチド値(4時間混合食負荷試験の2時間値)の相乗平均曲線下面積(AUC)とし(基線で年齢、性、ペプチド値で補正)、副次評価項目は、HbA1cとインスリン投与量の変化、安全性などを含んだ。

接種スケジュールは、基線、4週間後、さらにその8週間後だった。無作為化はコンピュータにて行われ、患者および治験担当者には割り付け情報は知らされなかった。

3回接種、2回接種、alum接種の3群間で有意差認められず、免疫療法研究は発展途上




結果、1年時点の血清Cペプチド値の2時間AUCは、GAD-alum接種群は0.412nmol/L(95%信頼区間:0.349~0.478)、GAD-alum+alum接種群は0.382nmol/L(95%信頼区間:0.322~0.446)、alum接種群は0.413nmol/L(95%信頼区間:0.351~0.477)で3群間に有意差は認められなかった。

同集団平均値比は、GAD-alum接種群vs. alum接種群は0.998(95%信頼区間:0.779~1.22、p=0.98)、GAD-alum+alum接種群vs. alum接種群は0.926(同:0.720~1.13、p=0.50)で、3群間で同等だった。

HbA1cとインスリン投与量の変化、有害事象の発生頻度および重症度について、3群間で差は認められなかった。

Wherrett氏は、「新規1型糖尿病患者を対象とする4~12週にわたるGAD-alumの2回または3回接種によるワクチン療法により、1年間のインスリン分泌低下を変化することはなかった」と結論。しかし、「免疫療法は非常に望ましく、動物モデルでは有効であったが、ヒトに関してはいまだ発展途上である」として、レビュアーから、投与量・ルート、有効な耐性誘導などさらなる研究が必要だろうとの指摘があったことや、免疫療法の研究を進展させるには免疫調整マーカーの開発が必要であること、また低用量の免疫調整薬投与を含む、GAD療法の併用療法への応用の可能性について言及している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)