がん検診に影響与える家族歴は30~50歳で変化が大きい、医師は5~10年ごとに問診を

提供元:ケアネット

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公開日:2011/07/26

 



がん検診の開始年齢や方法などに影響を与える家族歴は、30~50歳の間で変化が大きいことが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のArgyrios Ziogas氏らが、米国民ベースのがんレジストリ「Cancer Genetics Network」(CGN)を基に、約2万7,000人の登録被験者とその家族について行った追跡試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2011年7月13日号で発表した。

がんレジストリ登録2万6,933人とその家族データを調査




研究グループは、米国内14ヵ所の教育研究医療機関を通じて、1999~2009年間にCGNに登録された2万6,933人と、その家族54万578人について調査を行った。調査は、被験者が生誕時からCGN登録時点(調査開始)まで(後ろ向き調査)と、登録~最終追跡期間まで(前向き調査)について行われ、臨床的に意味のある家族歴を有した人の割合や変化が調べられた。

前向き追跡期間の中央値は8年(範囲:0~11)だった。がんの種類ごとの被験者数は、後ろ向き調査が、大腸がん9,861人、乳がん2,547人、前立腺がん1,817人。前向き調査はそれぞれ、1,533人、617人、163人だった。

家族歴に基づくハイリスク・スクリーニング適用者、大腸がんは30歳時2.1%が50歳時は7.1%




結果、後ろ向き調査で、がん家族歴がありハイリスクの人向けのスクリーニングが適切であるとされた人の割合は、大腸がんについては30歳時家族歴で2.1%(95%信頼区間:1.8~2.4)、50歳時家族歴で7.1%(同:6.5~7.6)だった。乳がんは、同7.2%(同:6.1~8.4)と11.4%(同:10.0~12.8)、前立腺がんは、同0.9%(同:0.5~1.4)と2.0%(同:1.4~2.7)だった。

一方、前向き調査で、家族歴をベースに新たにハイリスク・スクリーニングが必要とされたのは、100人・20年追跡あたり大腸がんが2人、乳がんが6人、前立腺がんが8人であった。

後ろ向き調査と前向き調査の、がん家族歴の変化の割合は大腸がんと乳がんでは同等であった。

研究グループはこれら結果を受けて、「家族歴は成人期早期から意味を持ち始めることが見いだされた。この時期に総合的な家族歴を聴取しておく必要がある。また、30~50歳の変化が大きく、医師は家族歴に関する問診を5~10年ごとに実施することが望ましい」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)