ACS疑いへの高感度トロポニンI定量法、カットオフ値低下で心筋梗塞再発や死亡リスクが低下

提供元:ケアネット

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公開日:2011/04/05

 



急性冠症候群(ACS)が疑われる人に対し、高感度トロポニンI定量法を行うことは、心筋壊死の診断カットオフ値を引き下げ、心筋梗塞再発や死亡リスクを低下することに結びつくことが示された。スコットランド・Edinburgh大学のNicholas L. Mills氏らが、カットオフ値引き下げ前後で各1,000人超の患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月23/30日合併号で発表した。血漿トロポニンI濃度のカットオフ値の低下が、臨床アウトカムの改善につながるかどうかについては意見が分かれていた。

カットオフ値を0.20ng/mLから0.05ng/mLに低下し1年間の心筋梗塞再発・死亡発生率を比較




Mills氏らは、2008年2月1日~7月31日にACSが疑われた1,038人に対し、心筋壊死の診断カットオフ値を血漿トロポニンI濃度0.20ng/mLに設定し、高感度トロポニンI定量法を行った。その後、2009年2月1日~7月31日に、ACS疑いの1,054人について、同カットオフ値を0.05ng/mLに引き下げ、同定量法を行った。2008年群において同濃度が0.20ng/mL以上の人についてのみ、医師に結果が報告された。

被験者を血漿トロポニンI濃度によって、0.05ng/mL未満、0.05~0.19ng/mL、0.20ng/mL以上の3群に分け、1年間の心筋梗塞の再発または死亡の発生率を主要評価項目として比較検討された。

0.05~0.19ng/mL群、カットオフ値低下で主要転帰発生0.42倍に減少




0.05ng/mL未満の人は全体の64%の1,340人、0.05~0.19ng/mLは8%の170人、0.20ng/mL以上は28%の582人だった。

このうち0.05~0.19ng/mL群において、2008年に検査を実施した群ではその39%が1年以内に心筋梗塞を再発または死亡していたが、2009年に実施した群では、その割合が21%に減少していた(オッズ比:0.42、95%信頼区間:0.24~0.84、p=0.01)。

なお、0.05ng/mL未満の人の主要転帰発生率は2008年において7%(0.05~0.19ng/mL群に対するp<0.001)、0.20ng/mL以上の同発生率は24%(同p=0.007)だった。これら0.05~0.19ng/mL群と比較した発生率の傾向は2009年でも同様の傾向が認められた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)