妊娠中の新型H1N1インフルエンザ発症、死亡率5%と高率

提供元:ケアネット

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公開日:2010/05/11

 



妊娠中に2009年流行の新型インフルエンザ(H1N1)に感染し発症した場合、死亡率は5%と高率であることがわかった。また、発症後2日以内に抗インフルエンザウイルス薬の服用を開始することで、入院リスクや死亡リスクは大幅に減少することも明らかになった。米国疾病対策センター(CDC)のAlicia M. Siston氏らが、妊娠中に新型インフルエンザを発症した800人弱について追跡し、明らかにしたもので、JAMA誌2010年4月21日号で発表した。

入院した妊婦の22.6%がICU治療




同研究グループは、2009年4~8月にかけて、新型インフルを発症した妊婦788人について、追跡調査を行った。

そのうち、死亡したのは30人(5%)だった。また、病院に入院した509人中、集中治療室(ICU)での治療を受けたのは115人(入院患者の22.6%)だった。

発症5日以降の抗インフルエンザ薬開始は、同2日以内に比べICU入室リスクが6倍




新型インフル発症後、5日目以降に抗インフルエンザウイルス薬の服用を始めた人のICU入室率は56.9%と、同2日以内に始めた人の同9.4%に比べ、約6倍に上った(相対リスク:6.0、95%信頼区間:3.5~10.6)。

発症後2日以内に同治療薬の服用を始めた219人のうち、死亡は1人にとどまった。

CDCのH1N1インフルエンザ・サーベイを基に、2009年12月までに発症した妊婦、合わせて280人について調べたところ、うち死亡したのは56人だった。そのうち、妊娠第一期の死亡は4人(7.1%)、妊娠第二期は15人(26.8%)、妊娠第三期は36人(64.3%)だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)