心房細動患者の心拍数コントロールは緩やかでも有効

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/28

 



持続性心房細動患者の心拍数コントロールは緩やかでも、厳格に行った場合と効果は同程度であることが確認された。コントロール達成も容易だった。オランダ・フローニンゲン大学循環器科のIsabelle C. Van Gelder氏らRACE II試験グループが、600名超を対象に行った多施設共同前向き無作為化試験で明らかにしたもので、NEJM誌2010年4月15日号(オンライン版2010年3月15日号)で発表している。心拍数コントロールは、心房細動治療の選択肢で、ガイドラインでは厳格に行うことを推奨しているが、臨床エビデンスはなかった。

心拍数コントロール目標、110拍/分未満群と80拍/分未満群に無作為化し転帰追跡




Gelder氏らは、持続性心房細動患者の心血管系疾患の罹患・死亡予防について、心拍数コントロールを緩やかに行った場合でも、厳格に行った場合と比べて劣らないと仮定し試験に臨んだ。

RACE II(Rate Control Efficacy in Permanent Atrial Fibrillation: a Comparison between Lenient versus Strict Rate Control II)は、2005年1月~2007年6月にオランダ国内33施設から被験者登録を行い、被験者(80歳以下の持続性心房細動患者614例)を、心拍数コントロールを緩やかに行う群(安静時心拍数110拍/分未満)と、厳格に行う群(同80拍/分未満、中等度運動時は同110拍/分未満)に無作為化し追跡した。

主要転帰は、心血管系が原因の死亡と、心不全・脳卒中・全身性塞栓症・出血・致命的な不整脈イベントによる入院の複合。追跡期間は2年以上3年以内とされた。

コントロール達成割合、97.7%対67.0%




3年時点の主要転帰の推定累積発生率は、緩やかコントロール群12.9%、厳格コントロール群14.9%、絶対差は2.0ポイント(90%信頼区間:-7.6~3.5、事前特定の非劣性限界に対するP<0.001)だった。

主要転帰複合の各項目の発生頻度は、両群で同程度だった。

緩やかコントロール群の患者の方が、コントロール達成のための受診回数は少なかったが[75(中央値:0)対684(同:2)、P<0.001]、心拍数コントロールの達成割合は高かった[304(97.7%)対203(67.0%)、P<0.001)。症状、有害事象の頻度は、両群で同程度だった。

(医療ライター:武藤まき)