新型インフルの最初の感染流行期、子どもの感染率は予想の10倍以上だった

提供元:ケアネット

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公開日:2010/04/08

 



イギリスにおける最初の2009パンデミックインフルエンザA H1N1ウイルスの感染流行期に、発病率が高い地域では子どもの約3人に1人がH1N1ウイルスに感染しており、これは当初の予想の10倍以上に相当することが、イギリス健康保護局(HPA)感染症センターのElizabeth Miller氏らによる調査で明らかとなった。2009年6月11日、WHOがブタを起源とするインフルエンザA H1N1の世界的な感染爆発を宣言したのを受け、イギリスでは感染の伝搬をリアルタイムで把握するモデルの構築を中心とする対策が進められた。H1N1ウイルスによる将来的な疾病負担やワクチンなどによる介入の効果をモデル化するには、年齢別の免疫獲得の状況や感染率を知ることが重要だという。Lancet誌2010年3月27日号(オンライン版2010年1月21日号)掲載の報告。

年齢別の抗体価32倍以上の検体率を感染流行期の前後で比較




研究グループは、イギリスにおけるH1N1ウイルスの感染状況を調査する横断的血清学研究を実施した。

イギリス健康保護局による血清疫学プログラムの年次検体採取の一部として、2008年(H1N1ウイルス感染流行第1波の前)に1,403の血清検体を採取し、2009年8~9月(感染流行第1波の後)には1,954検体を集めた。

抗体価は赤血球凝集抑制試験およびマイクロ中和試験で測定した。年齢別に2008年のH1N1ウイルスに対する抗体の保有率を算出し、赤血球凝集抑制抗体価が感染防御反応とされる32倍(1:32)以上に達した検体の割合を第1波の前後で比較した。

子どもはワクチン接種の主要ターゲット




感染流行第1波前の血清検体では、赤血球凝集抑制試験およびマイクロ中和試験による抗体価は加齢とともに有意に増加した(F検定:p<0.0001)。赤血球凝集抑制試験による抗体価が32倍以上の検体率は、0~4歳児の1.8%(3/171検体)から80歳以上の高齢者の31.3%(52/166検体)の範囲にわたった。

ロンドンおよびウェストミッドランドでは、感染流行第1波前に対する第1波後の、赤血球凝集抑制抗体価32倍以上の検体率の増加分は、5歳未満の子どもが21.3%、5~14歳が42.0%、15~24歳が20.6%であり、25歳以上の年齢では差を認めなかった。

他の地域では、第1波前に比べ第1波後に有意な増加(6.3%)を示したのは15歳未満の子どもだけであった。

著者は、「H1N1ウイルスの最初の感染流行期に、インフルエンザによる発病率が高い地域では、子どもの約3人に1人がH1N1ウイルスに感染しており、これは当初の予想の10倍以上に相当する。すでに抗体を保有している高齢者は感染率が低かった」と結論し、「子どもはインフルエンザの伝搬において中心的な役割を担うため、自身のみならず他者への感染予防の観点から、集団免疫によるワクチン接種の重要なターゲットとなる可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)