未熟児無呼吸発作に対するカフェイン療法の長期的影響は?

メチルキサンチン等カフェインは、新生児集中治療で頻繁に使用される薬剤の1つで、未熟児無呼吸発作に対して一般的に用いられているが、その有効性と安全性に関する十分なデータはない。ハミルトン大学(カナダ)Barbara Schmidt氏ら未熟児無呼吸発作カフェイン療法研究グループ(Caffeine for Apnea of Prematurity Trial Group)は、神経発達と成長の長期的影響に関する知見を報告した。NEJM誌11月8日号掲載。
極低出生体重児2,006例の18~21ヵ月時点の転帰評価
出生時体重500~1,250gの乳児2,006例を、カフェイン投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付け、未熟児無呼吸発作の治療を必要としなくなるまで治療が続けられた。
主要転帰は修正月齢18~21ヵ月時点での、死亡、脳性麻痺、認知機能の発達遅延(ベイリー乳幼児発達検査の精神発達指スコア<85)、難聴、視覚障害の複合。主要転帰検討のための十分なデータが得られたのはカフェイン投与群937例、プラセボ投与群932例だった。
カフェイン投与群で神経発達能力障害を伴わない生存率を改善
死亡または神経発達障害を伴い生存は、カフェイン投与群377例(40.2%)に対し、プラセボ投与群431例(46.2%)だった(施設間調整後オッズ比0.77、 95%信頼区間:0.64-0.93、P=0.008)。
脳性麻痺の発病率に関しても、カフェイン投与群4.4%に対しプラセボ投与群7.3%、補正オッズ比0.58(95%信頼区間:0.39-0.87、P=0.009)で、カフェイン投与群のほうが低い。
認知機能の発達遅延についても、カフェイン投与群33.8%、プラセボ投与群38.3%、補正オッズ比0.81(同0.66-0.99、P=0.04)で同様の結果が得られた。
死亡、難聴、視覚障害、および身長、体重、頭囲の平均のパーセンタイルは、2群間で有意差がなかった。
研究グループは、「未熟児無呼吸発作に対するカフェイン療法は、神経発達能力障害を伴わない生存率を改善する」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)
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