CKDの転帰、糸球体濾過量が同レベルなら、蛋白尿が多い群で増悪

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2010/02/16

 



慢性腎不全(CKD)患者、糸球体濾過量(GFR)が同レベルなら、蛋白尿濃度が高い患者の方が、死亡や心筋梗塞のリスクが増大するようだ。カナダCalgary大学内科Brenda R. Hemmelgarn氏らが、92万人以上について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年2月3日号で発表した。

92万人超を中央値35ヵ月で追跡




同研究グループは、2002~2007年にかけて、カナダのアルバータ州で血清クレアチニン値を1回以上測定した人で、登録時に腎臓移植を必要としなかった、92万985人の成人について調査を行った。蛋白尿については、試験紙法とアルブミン・クレアチニン比(ACR)による測定を行った。

追跡期間の中央値は、35ヵ月。被験者の89.1%が、GFR値が60mL/min/1.73m(2)以上だった。

GFR量が多く高濃度の蛋白尿群の死亡率は、正常値群の2倍以上




結果、蛋白尿が高濃度(試験紙法によるもの)で、GFR値が60mL/min/1.73 m(2)以上の群の補正後死亡率は、7.2/千人・年だった。これに対し、蛋白尿正常でGFR値が45~59.9mL/min/1.73m(2)の群では、2.9/千人・年で、2倍以上に上ることが認められた(率比:2.5、95%信頼区間:2.3~2.7)。

蛋白尿をACRで測定した場合も、それぞれの群の補正後死亡率は、15.9/千人・年と7.0/千人・年と、率比は2.3(同:2.0~2.6)だった。

また、心筋梗塞による入院や末期腎疾患、血清クレアチニン値の倍増といったイベントリスクについても、両群を比較した際、同様の傾向がみられた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)