SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/27

 

 強迫性障害は、WHOが指摘するところの、最も手立てのない疾患の一つである。セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)は強迫性障害の治療薬としてFDAで承認されている唯一の薬剤であるが、SSRI単独で症状を最小限にできる患者は少ない。このような例には、抗精神病薬またはexposure(強迫行為のきっかけとなる刺激への曝露)とritual prevention(強迫行為の回避)(EX/RP)からなる認知行動療法を追加することが、プラクティスガイドラインで推奨されている。米国・コロンビア大学のHelen Blair Simpson氏らは、強迫性障害患者へのSSRI治療において認知行動療法を追加することの効果について、ランダム化臨床試験にて検討した。その結果、exposureとritual prevention(EX/RP)の追加は、リスペリドンならびにプラセボの追加と比較して、症状のほか見識、機能およびQOLの改善に優れることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2013年9月11日号の掲載報告。

 本研究では、成人強迫性障害の初回治療としてのSSRI治療において、抗精神病薬による強化療法、EX/RPの追加およびプラセボとを無作為化試験で比較検討した。2007年1月から2012年8月までに、強迫性障害と不安障害を専門とする外来クリニック2施設において、試験登録12週以前にSSRIを服用したにもかかわらず中等度以上の強迫性障害を認める患者(18~70歳)を適格として実施された。適格例163例のうち100例を、リスペリドン群(40例)、EX/RP群(40例)、またはプラセボ群(20例)に無作為に割り付け、86例が試験を完了した。SSRIを同量で維持している期間中に、リスペリドン(最大4mg/日)の8週間投与群、EX/RP群(1週間に2回、17セッション)、またはプラセボ群に無作為化し、独立評価委員会による4週間ごとの評価が行われた。主要評価項目は、エール・ブラウン強迫観念・強迫行為尺度(Y-BOCS)によるOCD重症度とした。

 主な結果は以下のとおり。

・EX/RP群はリスペリドン群、プラセボ群と比較して8週目におけるY-BOCSスコア減少が有意に大きいことが、混合効果モデルにより示された(対リスペリドン 平均[SE]:-9.72[1.38]、p<0.001/対プラセボ 同-10.10[1.68]、p<0.001)。なお、リスペリドン群とプラセボ群間で有意な差は認められなかった(平均[SE]:-0.38[1.72]、p=0.83)。
・EX/RP群はリスペリドン群、プラセボ群と比較して反応性が良好であった(Y-BOCSスコアが25%以上減少した割合:EX/RP群80%、リスペリドン群23%、プラセボ群15%、p<0.001)。
・EX/RP群はリスペリドン群、プラセボ群と比較して症状を最小限に抑えられた患者の割合が多かった(Y-BOCSスコア12以下:EX/RP群43%、リスペリドン群13%、プラセボ群5%、p=0.001)。
・EX/RP群はリスペリドン群、プラセボ群と比較して見識、機能およびQOLの改善においても優れていた。
・SSRIへのEX/RPの追加は、リスペリドンまたはプラセボを追加した場合と比較して優れていた。
・以上を踏まえて著者は「SSRI投与中で臨床的に重大な症状が続いている強迫性障害患者に対しては、抗精神病薬を投与する前に、有効かつ問題となる有害事象プロファイルが少ないEX/RPの適用を考慮すべきである」と結論している。

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(ケアネット)