コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?

提供元:HealthDay News

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公開日:2025/01/22

 

 朝の1杯のコーヒーや午後のお茶には、あるタイプのがんを予防する効果があるようだ。コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスク低下と関連していることが、新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である米ユタ大学医学部の疫学者Yuan-Chin Amy Lee氏によると、「カフェイン抜きのコーヒーでも、ある程度のプラスの影響があった」という。この研究の詳細は、「Cancer」に12月23日掲載された。

 頭頸部がんとは、口腔、咽頭(上咽頭、中咽頭、下咽頭)、甲状腺など、目と脳を除く首から上の全て領域に発生するがんのこと。頭頸部がんは、患者数が世界で7番目に多いがんであり、2020年だけで新規患者数は約74万5,000人、死亡者数は36万4,000人に上るという。この研究でLee氏らは、14件の症例対象研究のデータを統合してコーヒーやお茶の摂取と頭頸部がんとの関連を検討した。解析対象者は、頭頸部がん患者9,548人と対照1万5,783人であった。

 その結果、カフェイン入りのコーヒーを1日に4杯超飲む人ではコーヒーを飲まない人に比べて、頭頸部がん、口腔がん、および中咽頭がんのリスクが低下しており、オッズ比(OR)はそれぞれ、0.83、0.70、0.78であった。また、カフェイン入りコーヒーを1日に3~4杯飲む人では、下咽頭がんのリスク低下が認められた(OR 0.59)。口腔がんのリスクは、カフェイン抜きのコーヒーを飲む人や1日に飲むコーヒーの量が0~1杯未満の人でも低下しており(同0.75、0.66)、リスク低下に寄与しているのはカフェインだけではないことが示唆された。研究グループは、「これまでの研究で、コーヒーを飲むとがんを促進する生物学的活動が抑制されることが分かっている」と述べている。

 一方、お茶を飲む人では、下咽頭がんのリスク低下が認められた(同0.71)。1日に0~1杯未満のお茶を飲む人では、頭頸部がん(同0.91)および下咽頭がん(同0.73)のリスクが低下していたが、1日に1杯超のお茶を飲む人では、逆に喉頭がんのリスクが増加していた(同1.38)。研究グループは、このリスク増加は、お茶を飲むことで胃酸の逆流が促進されることに起因する可能性があるとの見方を示している。胃酸逆流は喉頭がんのリスク増加と関連付けられている。

 Lee氏は、「コーヒーやお茶を飲む習慣は、多種多様である。今回の研究結果は、コーヒーやお茶の摂取ががんリスクの軽減にどのような影響を与えるかについて、より多くのデータとさらなる研究が必要であることを裏付けるものだ」と述べている。

[2024年12月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら