小児期の孤独の経験は成人期のアルコール関連問題のリスクを高める

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/08/24

 

 小児期に友情を培った人では、成人期にアルコール関連の問題を抱えるリスクが低いようだ。米アリゾナ州立大学の研究グループが300人以上の学生を対象にした研究から、12歳未満の時期に経験した孤独が現在のアルコール関連の問題やストレスレベルと関連することが明らかになった。同大学心理学部のJulie Patock-Peckham氏らによるこの研究結果は、「Addictive Behaviors Reports」に7月13日掲載された。

 ストレスは過剰な飲酒に影響を及ぼし、とりわけ女性においてはその影響が強いことが、過去の研究で示されている。Patock-Peckham氏らは今回、18歳以上の大学生310人(平均年齢19.32歳、女性154人、男性156人)を対象に、小児期(12歳未満)に経験した孤独、現在のストレスレベル、アルコール関連の問題について評価を行い、関連を検討した。

 その結果、小児期に経験した孤独は、現在のストレスおよびアルコール関連の問題に関連していることが明らかになった。12歳未満のときに経験した強い孤独感は、現在のより高いストレスレベルに関連し、それが間接的にアルコール使用やアルコール関連の問題の増加をもたらし、それがひいては制御不能な飲酒につながっていた。

 こうした結果についてPatock-Peckham氏は、「若年成人では、12歳未満の小児期に経験した孤独が目下のストレスレベルに関連し、それが自分で制御不能な飲酒に影響を及ぼしていることが示された」と述べる。

 研究グループは、「小児期の孤独に対する取り組みとなるような治療的介入を行うことで、成人期を迎えつつある人々が、ストレスから制御不能な飲酒習慣へと至るのを止めることができる可能性がある」との見方を示している。Patock-Peckham氏はこの点について、「さらなる研究が必要」とした上で、「特に女性においては、小児期の孤独に対処することで、制御不能な飲酒問題を減らすのに役立つはずだ」と話している。

 またPatock-Peckham氏は、「この研究で使用されたデータは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック前に収集されたものだ。それゆえこの結果は、今の子どもたちの成長に伴い、新たな公衆衛生上の危機が発生する可能性のあることを示唆している」と述べている。

 なお、研究グループは、米国では今後もアルコール使用が増大し続けるという、歓迎されざる見通しを示している。また、米国立衛生研究所の2021年の報告では、アルコールに頼る女性が増加傾向にあること、また、女性では男性に比べて、アルコール使用からアルコール乱用に至る確率が高いことが明らかになったことが述べられているという。さらに別の研究では、COVID-19のパンデミックを受け、不安や孤独感を打ち消すためにアルコールに目を向ける人が増え、30歳以上の成人の飲酒率が14%も急上昇したことが報告されている。

[2022年7月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら