AF治療中に脳梗塞を招く潜在的要因とは

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/11

 

心房細動(AF)患者における経口抗凝固薬(OAC)投与は、脳梗塞予防の中心であるが、適切に治療されていても脳梗塞を発症する事例が存在する。こうしたブレークスルー脳梗塞(breakthrough ischemic stroke)の潜在的原因や、その後の予後への影響は十分に明らかになっていない。そこで、イタリア・University of L'AquilaのFederico De Santis氏らは、AFでOAC継続中に発症した脳梗塞患者を対象に、潜在的な原因と90日転帰との関連を検討した。その結果、潜在的な原因は約半数で認められ、90日以内の脳梗塞再発リスク上昇と関連していた。本研究結果は、Journal of Neurology誌オンライン版2026年8月17日号に掲載された。


本研究は、欧州、北アフリカ、中東9ヵ国の脳卒中センター35施設のデータを用いた多施設共同後ろ向き観察研究で、2020年2月~2025年2月に、AFでOAC服用中に脳梗塞を発症した成人患者を対象に解析を行った。また、対象患者は、指標となる脳梗塞発症時にOACを継続的に服用している必要があり、直接経口抗凝固薬(DOAC)服用中の場合は「指標となる脳卒中発症前の7日間、服用を中断することなく、最後の服用が脳卒中症状発症の48時間前以内であること」、ビタミンK拮抗薬(VKA)服用中の場合は「最後の服用から脳卒中症状発症までの経過時間にかかわらず、国際標準化比(INR)が1.5以上であること」と定義された。ブレークスルー脳梗塞の潜在的原因は、OACと相互作用しうる併用薬、活動性がん、心原性塞栓以外の競合する脳梗塞病因とした。主要評価項目は90日以内の新規脳梗塞で、副次評価項目は90日時点のmodified Rankin Scale(mRS)スコア分布、心筋梗塞、全死亡、血管死(致死的な虚血性または出血性脳卒中、突然心臓死、心筋梗塞、またはそのほかの血管イベントによる死亡)、安全性評価項目は中等度~重度出血および頭蓋内出血とした。


主な結果は以下のとおり。


・解析対象1,649例の年齢中央値は80.4歳(四分位範囲[IQR]:73.2~85.6、女性860例[52.2%])であった。発症時の服用薬剤はDOAC1,275例(77.3%)、VKA374例(22.7%)であった。
・ブレークスルー脳梗塞の潜在的原因が1つ以上認められた患者は724例(43.9%)で、潜在的原因が1つのみの患者は544例(33.0%)、複数の患者は180例(10.9%)であった。
・潜在的原因の内訳は、OACと相互作用しうる併用薬が469例(28.4%)、心原性塞栓以外の競合する病因が401例(24.3%)、活動性がんが72例(4.4%)であった。併用薬ではプロトンポンプ阻害薬が450例(27.3%)と大半を占め、抗てんかん薬が31例(1.9%)、H2受容体拮抗薬が3例(0.2%)、デキサメタゾンが3例(0.2%)、ケトコナゾールが1例(0.1%)と続いた。
・競合する病因では、頭蓋内/頭蓋外大血管アテローム性動脈硬化が240例(14.6%)で最も多かった。
・潜在的原因の有無における結果は以下のとおり(その原因を有する患者vs.原因なしの患者)。
・高血圧(87.3%vs.76.3%、p<0.001)
・脂質異常症(58.1%vs.45.8%、p<0.001)
・糖尿病(30.1%vs.24.3%、p=0.009)
・心筋梗塞既往(29.3%vs.16.6%、p<0.001)
・脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)の既往(28.7%vs.21.8%、p=0.001)
・慢性心不全(21.1%vs.13.4%、p<0.001)
・慢性腎不全(20.4%vs.13.0%、p<0.001)
・末梢動脈疾患(7.3%vs.2.9%、p<0.001)
・90日追跡時点で、新規脳梗塞は57例(3.5%)、心筋梗塞は21例(1.3%)、全死亡は334例(20.3%、うち血管死は215例[13.0%])、中等度~重度出血は55例(3.3%)、頭蓋内出血は28例(1.7%)に認められた。
・OAC再開までの期間中央値は7日(IQR:3~12)であった。
・主要評価項目である90日以内の新規脳梗塞は、潜在的原因を1つ以上有する患者で4.8%、潜在的原因なしの患者で2.4%であり、潜在的原因を有する患者でリスクが有意に高かった(ハザード比[HR]:2.04、95%信頼区間[CI]:1.18~3.53、p=0.011)。
・一方、90日時点のmRSスコア分布のオッズ比は1.15(95%CI:0.97~1.37、p=0.106)で、90日以内の心筋梗塞(1.5%vs.1.1%、HR:1.70、95%CI:0.69~4.14、p=0.246)、90日以内の全死亡(22.7%vs.18.4%、HR:1.24、95%CI:0.99~1.55、p=0.057)、90日以内の血管死(13.7%vs.12.5%、HR:1.06、95%CI:0.80~1.40、p=0.697)は、潜在的原因の有無で有意差が認められなかった。
・安全性評価項目についても、中等度~重度出血(4.0%vs.2.8%、HR:1.38、95%CI:0.80~2.38、p=0.245)および頭蓋内出血(2.1%vs.1.4%、HR:1.48、95%CI:0.69~3.18、p=0.310)は、潜在的原因の有無で有意差が認められなかった。
・逆確率重み付け解析では、相互作用しうる併用薬あり818例となし831例が比較され、90日以内の新規脳梗塞は併用薬あり群4.3%、なし群4.0%で差はなかった(HR:1.08、95%CI:0.67~1.73、p=0.761)。一方、90日以内の心筋梗塞は併用薬あり群で2.3%、なし群で0.7%であり、併用薬あり群で有意に高かった(HR:3.26、95%CI:1.30~8.17、p=0.012)。

本研究結果について著者らは、AFに対するOAC継続中に発症するブレークスルー脳梗塞では、薬物相互作用、心原性塞栓以外の脳梗塞病因、活動性がんといった同定可能で一部修正可能な潜在的原因が相当数で認められ、これらを体系的に同定し、積極的に管理することがブレークスルー脳梗塞の予防や2次予防の最適化につながる可能性があるとまとめている。

(ケアネット 土井 舞子)

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