「チームオレンジ」とは、日本政府の認知症施策推進大綱で掲げられた、認知症に関する国家的な取り組みである。本取り組みは、認知症と共に生きる人やその家族と、研修を受けた地域ボランティア(オレンジサポーター)をつなぐものである。オレンジサポーターは、日常生活における実践的な支援を行うとともに、地域の支援ネットワークの構築を促進する。2023年までに本取り組みは、全国で約1,900のチーム、3万3,000人のサポーターを擁する規模に拡大したが、オレンジサポーターが自身の役割を通じてどのような有益性を感じているかについては、これまで十分に明らかにされていなかった。札幌医科大学の横山 和樹氏らは、札幌市におけるサポーターの実際の経験を通じて、チームオレンジがもたらす有益性について検討した。BMC Geriatrics誌オンライン版2026年7月16日号の報告。
札幌市内の8つの地域拠点から、目的的サンプリングによって選定された16人のオレンジサポーターを対象に質的内容分析を実施した。半構造化インタビューは、2024年12月~2025年3月に行われた。データの収集と分析は、データが十分に集まるまで継続した。
主な結果は以下のとおり。
・2つの主要なテーマが特定された。
・第1のテーマである「オレンジサポーターがチームオレンジで得た学び」は、次の4つのカテゴリーで構成されていた。
(1)認知症と共に生きる人やその家族の「人としての尊厳」の尊重
(2)多様なニーズの理解と支援
(3)認知症と共に生きる人やその家族の強みの発見
(4)協働を通じた地域社会へのインクルージョンの促進
・第2のテーマである「オレンジサポーターが認識したチームオレンジの包括的な有益性」には、次の3つのカテゴリーが含まれていた。
(1)日常生活における認知症への意識の高まり
(2)相互依存的な貢献を通じたエンパワーメント
(3)活動を通じた精神的なウェルビーイングの向上
著者らは「チームオレンジは、サポーターが認知症と共に生きる人と関わるための前向きな認識や実践的なスキルを養うと同時に、個人のエンパワーメントや精神的なウェルビーイングの向上を実感できる場として機能していると考えられる。日本独自の文化的背景に根差し、政策に基づいたモデルであるチームオレンジは、国際的な認知症にやさしい地域づくりの取り組みを発展させるうえで応用可能な知見を提供しており、高齢者におけるケア改善、社会参加の促進、社会的孤立に関連する健康リスクの低減といった点においても重要な示唆を含んでいる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)