ロボット支援手術の普及が進む中、新規術式導入期における執刀機会に男女差が存在する可能性が明らかになった。日本消化器外科学会はNational Clinical Database(NCD)のデータを用いた全国規模解析を実施、大阪医科薬科大学の河野 恵美子氏、東京大学の野村 幸世氏らの研究グループは、男性外科医では経験年数に応じてロボット支援手術の執刀数が増加する一方、女性外科医では同様の増加傾向が認められなかったことを報告した。研究成果はSurgery誌オンライン版2026年8月4日号に掲載された。
日本の全手術の95%以上を網羅するNCDデータを用い、2023年1月~2024年12月に幽門側胃切除術または低位前方切除術を実施した消化器外科医を対象に解析を行った。主要評価項目は性別および医師登録後の年数別に層別化した外科医1人当たりの手術件数とした。
ロボット支援手術では男女差が拡大
・解析対象となったのは、幽門側胃切除術4万7,934件、低位前方切除術3万8,230件であった。
・いずれの術式においても、女性外科医による手術の割合はロボット支援手術で最も低かった。幽門側胃切除術における女性外科医の割合はロボット支援手術4.32%、腹腔鏡手術9.47%、開腹手術11.86%、低位前方切除術では5.41%、8.41%、8.57%であった。
・男性外科医では経験年数の増加とともにロボット支援手術の執刀数が増加した一方、女性外科医では同様の増加傾向は認められなかった。男女差は医師免許取得後約10年から拡大していた。
技術格差が将来のキャリア形成にも影響
研究グループは以下のようにまとめている。
・ロボット支援手術は今後さらに適応拡大が見込まれる術式であり、導入初期の経験不足は、専門技術の習得だけでなく、将来的な指導医や施設責任者へのキャリアパスにも影響する可能性がある。
・新たな手術手技においても、性別にかかわらず公平な修練機会を確保する教育体制の整備が、持続可能な外科医療体制の構築と女性外科医のキャリア形成の双方にとって重要である。
(ケアネット 杉崎 真名)