実臨床におけるレカネマブとAChE阻害薬の有用性比較

提供元:ケアネット

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公開日:2026/08/05

 

 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬は、アルツハイマー病の症状を緩和する。一方、レカネマブは、アルツハイマー病の進行を修飾する可能性が示されている。しかし、レカネマブの安全性や臨床的影響に関するリアルワールド・エビデンスは、依然として限られている。台湾・Mackay Medical UniversityのChuo-Yu Lee氏らは、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病の患者を対象に、レカネマブ投与を開始した場合とAChE阻害薬を投与した場合の安全性および有効性を比較するため、本研究を実施した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2026年6月22日号の報告。

 2023年7月〜2025年9月にMCIまたはアルツハイマー病と診断された患者を対象に、米国の電子カルテネットワークであるTriNetXを用いて、レトロスペクティブコホート研究を実施した。標的試験エミュレーションの手法を用いて、傾向スコアマッチング(1:1)およびCox比例ハザードモデルによってリスクの比較を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・レカネマブ群は、AChE阻害薬群と比較し、神経画像上の異常所見の発生率が5倍高いことが示された。しかし、治療継続率(1年間)は同程度であった(53.4%vs.52.5%)。
・マッチング後、各コホートには589例が含まれた。
・AChE阻害薬群と比較し、レカネマブ群は、認知症の行動・心理症状(BPSD)のリスク(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.36〜0.77)および救急受診のリスク(HR:0.66、95%CI:0.51〜0.85)が有意に低かった。一方、入院のリスクは高かった(HR:1.31、95%CI:1.03〜1.67)。
・レカネマブの使用は、抗精神病薬(HR:0.47、95%CI:0.32〜0.70)、抗うつ薬(HR:0.60、95%CI:0.43〜0.85)、メラトニン受容体作動薬/オレキシン受容体拮抗薬(HR:0.61、95%CI:0.42〜0.88)、抗菌薬(HR:0.61、95%CI:0.44〜0.86)、抗真菌薬(HR:0.57、95%CI:0.37〜0.88)の使用頻度の低下と関連していた。一方、ステロイドの使用頻度は、レカネマブ使用者において高い傾向が認められた(HR:2.19、95%CI:1.55〜3.10)。

 著者らは「レカネマブの投与開始は、AChE阻害薬を中心とした従来の治療戦略と比較し、同等の治療継続率を有していたほか、探索的解析において、BPSDや救急受診のリスク低下、精神神経用薬や感染症関連薬の使用減少が認められた。ただし、レカネマブに関連する神経画像上の異常所見の発生率が高かったことや入院およびコルチコステロイド使用のリスクが増加したことは、アミロイド関連画像異常(ARIA)に対する積極的な臨床モニタリングおよびマネジメントを反映している可能性が高い。残存交絡の可能性を排除できず、結果の解釈には慎重を期す必要があるものの、これらの探索的知見は、バイオマーカーで確認されたコホートや直接比較による無作為化試験により、さらなる検証に値するものである」としている。

(鷹野 敦夫)