新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時、世界中で医師、とくに臨床研修医においてバーンアウトが大幅に増加した。一方、わが国では、医師の過重労働を減らし健康状態を改善するため、2023年に医師の働き方改革の準備を開始し、2024年4月に施行した。今回、千葉大学/英国・グラスゴー大学の小野 亮平氏らは、COVID-19流行時および国の働き方改革の準備期・施行期における、研修医のバーンアウトと労働環境の経時的変化について、多施設共同反復横断研究で調査した。その結果、臨床研修医のバーンアウトは2020年度に最も高く、その後、仕事への満足度、勤務時間、診療負担の改善に伴い減少したことが示された。BMJ Open誌2026年7月21日号に掲載。
本研究の対象は、日本医療教育プログラム推進機構(JAMEP)による2020年度・2022年度・2023年度・2024年度の基本的臨床能力評価試験(GM-ITE)を受験した1年目および2年目の臨床研修医である。自己記入式アンケートにより、週当たり勤務時間、救急当直回数、受け持ち入院患者数、自己学習時間、バーンアウトに関するデータを収集した。人口統計学的特性および施設特性を調整後、多変量ロジスティック回帰分析により働き方改革の各時期とバーンアウトとの関連を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・計2万5,368人の臨床研修医が参加した(2020年度:6,816人、2022年度:6,063人、2023年度:6,584人、2024年度:5,905人)。
・バーンアウトの割合は、COVID-19流行初期の2020年度に最も高かった(21.7%)が、2024年度には13.3%に低下した。
・仕事への満足度の割合は、2020年度の62.3%と比較して、働き方改革開始後の2024年度には75.4%まで改善した。
・週80時間以上勤務していた臨床研修医の割合は、2020年度の19.9%から2024年度には2.3%に減少した一方、週45時間未満は2.5%から24.7%に増加した。
・働き方改革前の2020年度・2022年度と比べたバーンアウトの調整オッズ比は、準備期の2023年度で0.60(95%信頼区間:0.55~0.66)、施行期の2024年度で0.67(同:0.61~0.74)であった。
著者らは「これらの結果は、業務負荷のバランスを改善するためのシステムレベルの取り組みが、臨床研修医のウェルビーイングの向上と関連している可能性を示唆している」と結論した。ただし、本研究が各年度で異なる臨床研修医を調査した反復横断研究であることやCOVID-19流行の収束と働き方改革の準備・施行時期が重なっていることなどから、働き方改革が原因と断定するには慎重な解釈が必要としている。
(ケアネット 金沢 浩子)