従来の統合失調症薬物治療ガイドラインは、日常診療における臨床的に重要な問題すべてに対して十分に対応できていなかった。関西医科大学の嶽北 佳輝氏らは、現在の臨床状況を反映させるため、日本臨床精神神経薬理学会(JSCNP)の2021年専門家コンセンサスを改訂することを目的とし、本研究を実施した。Schizophrenia誌オンライン版2026年6月2日号の報告。
JSCNPおよび日本神経精神薬理学会(JSNP)に所属する精神科専門医154人が、臨床的に関連性の高い21の状況における治療選択肢を9段階リッカート尺度(1=「強く反対」、9=「強く賛成」)を用いて評価した。
主な内容は以下のとおり。
・回答率は44%であった。
・主な症状別の推奨される第1選択薬は以下のとおりであった。
【陽性症状】リスペリドン、ブレクスピプラゾール、オランザピン、パリペリドン、ブロナンセリン
【陰性症状および認知機能低下】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール
【うつおよび不安】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン
【滅裂思考】ブレクスピプラゾール、アリピプラゾール、オランザピン
【興奮および攻撃性】オランザピン、リスペリドン
【社会的統合】アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、ルラシドン
【錐体外路系副作用または糖尿病の高リスク】ブレクスピプラゾール、クエチアピン、アリピプラゾール
・遅発性ジスキネジアに対しては減量または薬剤変更を検討する。
・再発を繰り返し、患者の要望、アドヒアランス不良の場合には、長時間作用型注射(LAI)抗精神病薬の導入適応となりうる。
・治療抵抗性統合失調症に対してはクロザピンへの切り替えが第1選択となる。
・副作用対策として、抗精神病薬の減量および単剤療法への簡略化の両方が最も重要な要因として挙げられた。
・第2世代抗精神病薬は、ほとんどの場合第1選択薬または第2選択薬として評価された。一方、第1世代抗精神病薬は、おおむね第3選択薬として評価された。
著者らは「これらの推奨事項は、既存のエビデンスだけでは十分に対応できない臨床的に困難な状況における治療選択と共同意思決定(SDM)のための実践的な指針となる」としている。
(鷹野 敦夫)