日本の外科医における筋骨格系障害の有病率

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2025/12/02

 

 わが国では外科医の業務に関連した筋骨格系障害(MSD)に対する認識は限定的である。今回、自治医科大学の笹沼 英紀氏らが日本の一般外科医におけるMSDの有病率、特徴、影響を調査した。その結果、日本の外科医におけるMSD有病率はきわめて高く、身体的・精神的健康に影響を及ぼしていることが示唆された。Surgical Today誌オンライン版2025年11月14日号に掲載。

 本研究では、日本の大学病院ネットワークに所属する一般外科医136人を対象に電子アンケートを実施した。Nordic Musculoskeletal Questionnaireの修正版を用いて、人口統計学的特性、作業要因、MSD症状、心理的苦痛、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用状況とそれらの影響を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・慢性MSDは37.7%、急性MSDは51.9%に確認された。
・これらの障害は、外科医の業務(30.0%)および日常生活(39.0%)に頻繁に影響を与え、休業(5.2%)や医療介入(28.6%)につながっていた。
・両タイプのMSDはNSAID使用と心理的苦痛に有意に関連し、とくに頸部痛はNSAID使用と強く関連した。
・週当たりの低侵襲手術実施件数は急性MSDと有意に関連したが、慢性MSDとは関連しなかった。

 この結果から、著者らは「高いMSD有病率と、頸部痛とNSAID依存の強い関連は、この重要な労働力を守るために、外科診療における人間工学的介入と予防戦略の差し迫った必要性を強調している」と提言している。

(ケアネット 金沢 浩子)