HER2変異陽性NSCLCに対するゾンゲルチニブを発売/ベーリンガーインゲルハイム

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/13

 

 日本ベーリンガーインゲルハイムは「がん化学療法後に増悪したHER2ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の適応で、厚生労働省より製造販売承認を取得したゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)を2025年11月12日に発売した。ゾンゲルチニブは、同適応症に対する分子標的薬として、国内初の経口薬となる。

 HER2遺伝子変異は、NSCLC患者の約2~4%に認められるとされており、非喫煙者や女性、腺がんで多くみられる。また、HER2遺伝子変異陽性のNSCLCは予後不良であり、脳転移のリスクも高いことが知られている。

 ゾンゲルチニブは、野生型EGFRを阻害せず、HER2のチロシンキナーゼドメイン以外の変異(HER2 exon20挿入変異など)を含む広範なHER2変異体に対して阻害活性を有するHER2選択的チロシンキナーゼ阻害薬である。また、共有結合型の不可逆的な結合様式を有する。

 ゾンゲルチニブの承認の根拠となった国際共同第I相非盲検用量漸増試験「Beamion LUNG-1試験」1)では、既治療のNSCLC患者における奏効率は71%(完全奏効率7%、部分奏効率64%)であり、病勢コントロール率は96%であった。最も多く報告された有害事象はGrade1の下痢(48%)であり、治験薬との因果関係のあるGrade3以上の有害事象の発現割合は17%であった。

<製品概要>
販売名:ヘルネクシオス60mg錠
一般名:ゾンゲルチニブ
製造販売承認日:2025年9月19日
薬価基準収載日:2025年11月12日
効能又は効果:がん化学療法後に増悪したHER2ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法及び用量:通常、成人には、ゾンゲルチニブとして1日1回120mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

(ケアネット 佐藤 亮)