DLL3を標的とするBiTE製剤タルラタマブの小細胞肺がん(SCLC)2次治療DeLLphi-304試験における、有害事象(AE)の追加分析結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表された。
・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験
・対象:プラチナ製剤を含む化学療法±抗PD-1/PD-L1抗体薬による1次治療を受けたSCLC患者(無症候性の脳転移は治療歴を問わず許容)
・試験群(タルラタマブ群):タルラタマブ(1日目に1mg、8・15日目に10mgを点滴静注し、以降は2週間間隔で10mgを点滴静注) 254例
・対照群(化学療法群):化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)※ 255例
・評価項目:
[主要評価項目]全生存期間(OS)
[主要な副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、患者報告アウトカム
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など
※:日本はアムルビシン
主な結果は以下のとおり。
・DeLLphi-304試験において新たな安全性のシグナルは特定されなかった。
・タルラタマブ群は化学療法群に比べ、血液毒性および感染症の発生率が低かった。
・タルラタマブの治療関連有害事象(TRAE)は多くがGrade1/2で、時間経過とともに発現割合は減少した。
・同剤のTRAEで最も多いのものはサイトカイン放出症候群(CRS)であった。CRSの発現は1ヵ月未満56%、1〜3ヵ月3%、3ヵ月超0%でほとんどが1ヵ月未満であった。
・CRS発現はサブグループ(PS、年齢、肝転移、脳転移、PD-[L]1投与歴、腫瘍量)間で差はみられなかった。
・免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は6%で認められたが、ほとんどはGrade1/2で、93%が回復した。
・神経学的TRAEとして書字障害が23%でみられた。書字障害のほとんどはGrade1/2で、全例回復、投与中止になった症例はなかった。
(ケアネット 細田 雅之)