2025年9月9日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などの降圧薬で重大な副作用が改められた。
今回、ACE阻害薬、ARB、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)および直接的レニン阻害薬の腸管血管性浮腫について評価した。その結果、「血管性浮腫の一種である腸管血管性浮腫についても、潜在的なリスクである可能性があること」「国内外副作用症例において、腸管血管性浮腫に関連する報告が認められていない薬剤もあるものの、複数の薬剤において腸管血管性浮腫との因果関係が否定できない症例が認められていること」「医薬品医療機器総合機構で実施したVigiBaseを用いた不均衡分析において、複数のACE阻害薬およびARBで『腸管血管性浮腫』に関する副作用報告数がデータベース全体から予測される値より統計学的に有意に高かったこと」を踏まえ、改訂に至った。
◆例:アジルサルタンの場合
[重大な副作用]
血管浮腫
顔面、口唇、舌、咽・喉頭等の腫脹を症状とする血管性浮腫があらわれることがある。
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血管性浮腫
顔面、口唇、舌、咽・喉頭等の腫脹を症状とする血管性浮腫があらわれることがある。また、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等を伴う腸管血管性浮腫があらわれることがある。
対象医薬品は以下のとおり。
<ACE阻害薬>
アラセプリル(商品名:セタプリル錠)
イミダプリル塩酸塩(同:タナトリル錠)
デラプリル塩酸塩(同:アデカット錠)
トランドラプリル(同:オドリック錠)
ペリンドプリルエルブミン(同:コバシル錠)
<ARB>
アジルサルタン(同:アジルバ錠)
イルベサルタン(同:アバプロ錠)
オルメサルタン メドキソミル(同:オルメテック錠)
カンデサルタン シレキセチル(同:ブロプレス錠)
バルサルタン(同:ディオバン錠)
アジルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:ザクラス配合錠)
イルベサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:アイミクス配合錠)
イルベサルタン・トリクロルメチアジド(同:イルトラ配合錠)
オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン(同:レザルタス配合錠)
カンデサルタン シレキセチル・アムロジピンベシル酸塩(同:ユニシア配合錠)
カンデサルタン シレキセチル・ヒドロクロロチアジド(同:エカード配合錠)
テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:ミカムロ配合錠)
テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩・ヒドロクロロチアジド(同:ミカトリオ配合錠)
テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:ミコンビ配合錠)
バルサルタン・アムロジピンベシル酸塩(同:エックスフォージ配合錠)
バルサルタン・シルニジピン(同:アテディオ配合錠)
バルサルタン・ヒドロクロロチアジド(同:コディオ配合錠)
ロサルタンカリウム・ヒドロクロロチアジド(同:プレミネント配合錠)
<ARNI>
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(同:エンレスト錠)
<直接的レニン阻害薬>
アリスキレンフマル酸塩(同:ラジレス錠)
このほか、メサラジン(同:ペンタサ、アサコール ほか)、サラゾスルファピリジン(同:アザルフィジン、サラゾピリン ほか)アダリムマブ(同:ヒュミラ ほか)、イピリムマブ(同:ヤーボイ)・ニボルマブ(同:オプジーボ)、メロペネム水和物(同:メロペン)に対しても、それぞれ重大な副作用などが追加された。
(ケアネット 土井 舞子)