再発/難治多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ+デキサメタゾンへのベネトクラクス上乗せの効果を検討した第III相BELLINI試験では、すでに主要評価項目である独立評価委員会による無増悪生存期間(PFS)は達成したが早期死亡率の増加を示したことが報告されている。今回、米国・Mayo ClinicのShaji K. Kumar氏らが、本試験の全生存期間(OS)の最終解析結果をLancet Haematology誌オンライン版2025年6月27日号で報告した。Kumar氏らは「OSはプラセボがベネトクラクスを上回り、PFSはベネトクラクスがプラセボを上回っていたことから、一般的な再発/難治性の多発性骨髄腫患者ではベネトクラクスの使用を避けるべきであることが示唆された」としている。
BELLINI試験は多施設無作為化二重盲検第III相試験で、16ヵ国90施設で実施された。この最終解析ではITT集団におけるOSと治験責任医師によるPFSが解析された。
・対象:ECOG PSが2以下で1~3レジメンの治療歴がある18歳以上の再発/難治性多発性骨髄腫患者
・試験群:ベネトクラクス(800mg/日)+ボルテゾミブ(1.3mg/m2)+デキサメタゾン(20mg)、最初の8サイクルは21日サイクル、その後中止まで35日サイクルで投与
・対照群:プラセボ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン
・評価項目:
[主要評価項目]ITT集団における独立評価委員会によるPFS
[副次評価項目]OSなど
主な結果は以下のとおり。
・2016年7月19日~2017年10月31日に291例がベネトクラクス群(194例)またはプラセボ群(97例)に割り付けられ、本解析時点で33例(ベネトクラクス群28例、プラセボ群5例)が治療を継続していた。
・追跡期間中央値45.6ヵ月(四分位範囲:43.6~48.3)において、OS中央値はベネトクラクス群(未到達[NR]、95%信頼区間[CI]:44.4~NE)、プラセボ群(NR、95%CI:44.0~NE)ともにNRだった(ハザード比[HR]:1.19、95%CI:0.80~1.77、p=0.39)。
・PFS中央値は、プラセボ群11.4ヵ月(95%CI:9.5~14.6)に対し、ベネトクラクス群23.4ヵ月(95%CI:16.2~26.4)であった(HR:0.58、95%CI:0.43~0.78、p=0.00026)。
・Grade3/4の主な有害事象は、血小板減少症(ベネトクラクス群:26%、プラセボ群:40%)と好中球減少症(30%、8%)であった。
・治療関連有害事象で死亡に至った患者は、ベネトクラクス群では193例中4例(2%)、プラセボ群では1例もなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)