診療報酬は公定価格であるため、昨今の急激な物価や人件費の高騰を価格転嫁することができず、病院は深刻な経営難に陥っている。そこで、日本病院会などの6病院団体は、2024年6月の診療報酬改定後の病院の経営状況に関して緊急調査を実施し、その結果を3月12日の日本医師会との合同記者会見で報告した。
主な結果は以下のとおり。
・調査は6病院団体の会員が対象で、1,816病院から回答を得た(回答率:30.8%)。
・2024年の診療報酬改定後、病床利用率は上昇傾向にあるものの、医業利益率と経常利益率は悪化傾向が認められた。
・医業利益の赤字病院割合は69.0%まで増加、経常利益の赤字病院割合は61.2%まで増加した。
・2023年と2024年の比較では、給与費とその他の経費が増加しており、その他の経費ではすべての費目(委託費、診療材料費、水道光熱費など)が増加していた。改定後の医業収益の増加率(1.9%)よりも、医薬品費以外のすべてのその他の経費の増加率が上回っていた。
・2023年度の福祉医療機構のデータの債務償還年数の分析では、半数の病院が破綻懸念先と判断される30年を超えていた。
日本医療法人協会副会長の太田 圭洋氏は、これらの結果より「全国の病院経営は危機的状況に陥っていることから、地域の病院医療を維持していくため、また医療者の適切な処遇改善を進めていくために、物価・賃金の上昇に適切に対応した診療報酬の仕組みが必要」とまとめた。
なお、日本医師会と6病院団体は同日に合同で声明を発表し、(1)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の廃止、(2)診療報酬などについて、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入を求めた。
(ケアネット 森)