オメガ3脂肪酸で心房細動リスクは増加する?しない?/JACC

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/28

 

 オメガ3脂肪酸の摂取が心房細動発症リスクを高めることを示唆する研究報告があるが、依然として議論の余地がある。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのFrank Qian氏らが、世界的コンソーシアムにおける17の前向きコホート研究のデータを用いて、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中あるいは脂肪組織レベルと心房細動発症との関連を解析した結果、オメガ3脂肪酸の生体内レベルは心房細動発症リスクの増加に関連していなかった。本結果から、食事による習慣的なオメガ3脂肪酸の摂取は、心房細動発症リスクに関しては安全であることが示唆された。Journal of the American College of Cardiology誌2023年7月25日号に掲載。

 本研究では、血中または脂肪組織のオメガ3脂肪酸レベルと心房細動に関するベースラインデータを有する、世界的コンソーシアムの17の前向きコホート研究の参加者レベルのデータを用いた。各研究について、曝露、アウトカム、共変量、サブグループの定義を統一し、事前に規定された解析計画を用いてde novo解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・17コホートには北米、欧州、アジア、アフリカの 21ヵ国の5万4,799人が参加し、追跡期間中央値13.3年で7,720例の心房細動の発症が確認された。
・多変量解析では、EPA値は心房細動の発症とは関連せず、五分位範囲でのハザード比(HR)は1.00(95%信頼区間[CI]:0.95~1.05)であった。
・DPA、DHA、EPA+DHAのレベルが高い場合のHRは、それぞれ0.89(95%CI:0.83~0.95)、0.90(同:0.85~0.96)、0.93(同:0.87~0.99)で、心房細動リスクの低下と有意に関連していた。

 今回の結果から、著者らは「心血管疾患患者や心血管疾患リスクが高い人々におけるサプリメントによる高用量のオメガ3脂肪酸摂取が、食事による習慣的な低用量のオメガ3脂肪酸摂取に必ずしも一般化できるわけではないことを示唆している」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)