中高年の睡眠時間とうつ病リスクとの関係~用量反応メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/05/22

 

 中国・北京中医薬大学のXin-Lin Li氏らは、中年および高齢者における夜間の睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を調査するため、本研究を実施した。その結果、中高年のうつ病リスクが最も低い夜間の睡眠時間は7時間であり、睡眠時間がそれより長くても短くても、うつ病リスクが高まる可能性が示唆された。Frontiers in Physiology誌2023年3月2日号の報告。

 2022年7月31日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Science、CNKI、VIP、Wanfangデータナレッジサービスプラットフォームより検索した。対象には、夜間の睡眠時間とうつ病との関連を評価したコホート研究およびケースコントロール研究を含めた。研究の質の評価には、Newcastle-Ottawa scaleを用いた。2人の研究者により、データ抽出と品質評価を行った。睡眠時間とうつ病リスクとの用量反応関係を評価するため、制限付き3次スプライン(RCS)および一般化最小二乗法(GLS)を用いた。推定エフェクトサイズを分析するため、Stata 12.0を用いて、リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・メタ解析には、6件のコホート研究より3万3,595例を含めた。
・睡眠時間とうつ病リスクとの間にU字型の関連が認められた。
・夜間の7時間睡眠と比較し、それよりも短時間および長時間睡眠のいずれにおいても、うつ病リスク増加との関連が認められた(非線形検定 p<0.05)。
【5時間】RR:1.09(95%CI:1.07~1.12)
【6時間】RR:1.03(同:1.02~1.04)
【8時間】RR:1.10(同:1.05~1.15)
【9時間】RR:1.31(同:1.17~1.47)
【10時間】RR:1.59(同:1.31~1.92)
・非アジア人では、短時間睡眠によりうつ病リスクが高まり、アジア人では短時間および長時間睡眠のいずれにおいてもうつ病リスクが高まる可能性が示唆された。
 ●非アジア人
【5時間】RR:1.09(同:1.02~1.17)
 ●アジア人
【5時間】RR:1.10(同:1.07~1.13)
【6時間】RR:1.04(同:1.02~1.05)
【8時間】RR:1.09(同:1.05~1.14)
【9時間】RR:1.35(同:1.18~1.53)
【10時間】RR:1.70(同:1.36~2.12)

(鷹野 敦夫)