認知症予防のための修正可能なリスク因子

認知症リスクに対し修正可能なリスク因子は、40%の影響を与えるといわれており、認知症の予防または進行遅延につながると考えられる。Lancet委員会による認知症予防のリスク因子ライフコースモデルは、一般集団においてまだ検証されていない。ニュージーランド・オタゴ大学のCharlotte Mentzel氏らは、高齢者の大規模データセットを用いて、本モデルの評価を行った。その結果、ニュージーランドの高齢者集団においてBMI、高血圧、聴覚障害、うつ病が、認知症の修正可能なリスク因子として確認されたことから、認知症予防のためのこれらのリスク因子に対する介入の信頼性が向上したことを報告した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌オンライン版2022年11月2日号の報告。
標準化されたデータセットを提供するため、ニュージーランドで高齢者に義務付けられているinterRAI assessment(236項目を網羅する包括的なエビデンスベースツール)を2013~18年に受けた6万6,638人を対象に、Lancetの認知症予防モデルの検証を行った。女性のインタビュー回答者は59%(平均年齢:82歳、年齢範囲:65~107歳)であった。認知症診断を主要アウトカムとし、ロジスティック回帰分析を用いて、横断的データセット分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・Lancetの認知症予防モデルは、部分的にサポートされた。
・高血圧、聴覚障害、過去または現在のうつ病は、認知症リスクを高めることが示唆された。
・認知症リスク増加との関連は、年齢では85歳まで、性別では女性、BMIでは高BMIによる初期の影響が認められた。
・修正可能な因子である運動、糖尿病、視覚障害、喫煙についてはLancet認知症リスクモデルとの関連が認められなかった。
・分析したデータセットの制限が、本調査結果に影響を及ぼした可能性が考えられるが、認知症リスクを増加させる修正可能なリスク因子が確認された。
(鷹野 敦夫)
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