既治療のKRAS G12C変異を有する進行大腸がんに対して、KRAS阻害薬adagrasib単剤または同剤とセツキシマブとの併用による有用性が認められた。多コホート第Ib/II相試験KRYSTAL-1試験のアップデート解析(2022年6月16日時点)の結果として、米国・Massachusetts General Cancer CenterのSamuel Klempner氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2022)で報告した。
・対象:KRAS G12C変異を有する既治療の進行大腸がん患者
・単剤群(第II相試験):adagrasib (600mg、1日2回)単剤投与(44例)
・併用群(第Ib相試験):adagrasib (600mg、1日2回)とセツキシマブの併用(32例)
・評価項目:
[主要評価項目]第Ib相試験:安全性など、第II相試験:奏効率(ORR)
[副次評価項目]第Ib相試験:ORR、奏効期間(DoR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、第II相試験:安全性、DoR、PFS、OS
主な結果は以下のとおり。
・単剤群の観察期間中央値は20.1ヵ月で、ベースラインにおける患者背景は年齢中央値59歳、女性50%、前治療数(全身)中央値は3、ECOG PS 0が52%、PS 1が48%であった。
・有効性評価患者43例のORRは19%、病勢コントロール率(DCR)は86%で、腫瘍縮小が79%の患者に認められた。
・DoR中央値は4.3ヵ月、PFS中央値は5.6ヵ月、OS中央値は19.8ヵ月であった。
・併用群の観察期間中央値は17.5ヵ月で、ベースラインにおける患者背景は年齢中央値60歳、女性53%、前治療数(全身)中央値は3、ECOG PS 0が44%、PS 1が56%であった。
・有効性評価患者28例のORRは19%、DCRは100%で、腫瘍縮小が93%の患者に認められた。
・DoR中央値は7.6ヵ月、PFS中央値は6.9ヵ月、OS中央値は13.4ヵ月であった。
・単剤群における治療関連有害事象の発現率は、Grade1が23%、Grede2が23%、Grade3が7%であった。
・併用群における治療関連有害事象の発現率は、Grade1が16%、Grede2が69%、Grade3が9%であった。
(ケアネット)