COVID-19治療の薬物相互作用による有害事象、半数はチェッカーで特定可能

COVID-19感染流行初期にはドラッグ・リポジショニングと呼ばれる、別の疾患に対して開発・承認された薬剤が投与されてきた。2022年6月末現在、国内ではCOVID-19治療薬として8つの薬剤が承認されているが、世界のCOVID-19患者における薬物相互作用(DDI)に起因する有害事象を特定することを目的としたシステマティック・レビューがJAMA Network Open誌2022年5月号に掲載された。
イタリア・サレルノ大学のValeria Conti氏らによる本研究は、以下の手順で行われた。
1)欧州医薬品庁(EMA)とイタリア医薬品庁のウェブサイト、ClinicalTrials.govデータベース、および文献データを参照し、パンデミック時に使用されたすべての医薬品を特定。
2)Drugs.com、COVID-19 Drug Interactions、LexiComp、Medscape、およびWebMDの薬物相互作用チェッカーを使用して、1)で特定された各薬剤に関連するDDIの可能性を検索。
3)PubMed、Scopus、Cochraneで2020年3月1日~2022年2月28日に発表された論文から、CODID-19患者のDDIに関連する有害事象を検索。
4)3)で特定されたDDIが2)のツールを使用することで特定され得たかどうかを評価。
主な結果は以下のとおり。
・全体で1297例の患者が登録された、計20の研究が解析に含まれた。46種類の薬剤による56種類のDDIの可能性が特定された。
・58種類の薬物の組み合わせによる、575件のDDIが報告された。58種類の薬物組み合わせのうち15(26%)は分析したすべてのツールで特定可能であり、29(50%)は少なくとも1つのツールで特定可能、14(24%)は特定不可能だった。
・最も深刻なDDIはアミオダロンとロピナビル・リトナビル、シンバスタチンとロピナビル・リトナビルとの併用によるもので、Medscapeでは禁忌(2[3%])、WebMDでは併用禁止(2[4%])と分類された。
・最も一般的な有害事象はQT間隔の延長で、他の有害事象と併発した場合は8例の死亡につながった。
(ケアネット 杉崎 真名)
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