高齢の進行乳がん、実臨床でのパルボシクリブ上乗せ効果は/ESMO2021

提供元:ケアネット

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公開日:2021/10/07

 

 米国のリアルワールドデータから、高齢のホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がん(MBC)患者の1次治療で、パルボシクリブ+レトロゾールがレトロゾール単独に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に延長したことが示された。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

 HR+/HER2- MBCに対してはパルボシクリブ+内分泌療法が標準治療となっている。しかし、高齢患者を対象としてパルボシクリブ+内分泌療法と内分泌療法単独の効果を比較したデータは少ない。今回、Rugo氏らは、Flatiron Health(ニューヨーク市)の縦断的データベースを用いたMBC患者の後ろ向き解析を実施した。対象は、2015年2月~2018年9月にHR+/HER2- MBCと診断され、1次治療としてパルボシクリブ+レトロゾール(パルボシクリブ併用群)またはレトロゾール(単独群)による治療を開始した65歳以上の女性796例。治療開始から2018年12月または死亡または最終受診の早い時点まで評価した。PFSは、臨床評価またはX線スキャン/組織生検に基づき、パルボシクリブ+レトロゾールまたはレトロゾール単独による治療開始から死亡または病勢進行までの期間とした。安定化逆確率治療重み付けにより患者特性のバランスがとれた、パルボシクリブ併用群450例と単独群335例を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・両群とも年齢中央値は74.0歳、白人は71%だった。
・PFS中央値は、パルボシクリブ併用群が22.2ヵ月(95%信頼区間[CI]:20.0~30.4)で、単独群(15.8ヵ月、95%CI:12.9~18.9)より有意に長かった(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.47~0.74、p<0.0001)。
・OS中央値は、パルボシクリブ併用群が未到達(NR)で、単独群(43.4ヵ月、95%CI:30.0~NR)より有意に長かった(HR:0.55、95%CI:0.42~0.72、p<0.0001)。
・これらの結果は、65~74歳と75歳以上に層別しても同様だった。
・腫瘍縮小における最良総合効果は、パルボシクリブ併用群が52.4%で、単独群(22.1%)より有意に高かった(オッズ比:2.0、95%CI:1.4~2.7、p<0.0001)。

 Rugo氏は「この結果は、PALOMA試験の高齢患者で示されたパルボシクリブ+レトロゾールの有効性を補足するもの」としている。

(ケアネット 金沢 浩子)

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